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2012-03-28 00:00
(連載)緊張高まるイラン情勢(2)
水口 章
敬愛大学国際学部教授
国際エネルギー機関(IEA)によると、イランの2月の原油生産は日量338万バーレルとなり、2002年の水準となっている。今後もEUによるイラン産原油の全面輸入禁止により、イランの輸出水準は下降することが予測されている。そのことは、イラン国内の物価高騰と合わせて、イラン革命体制のあり方への批判として現れつつある。同国のイスラム体制は、こうした状況への対応として、3月14日にアハマディネジャド大統領を国会喚問し、責任を負わせる環境を整えつつあると考えられる。
こうしたイランの指導体制内の対立が、「最後のチャンス」を生かすことに繋がっていくのだろうか。また、このような状況で、国際的に追い詰められる中で、革命防衛隊の一部が暴発しホルムズ海峡およびその周辺で何らかの事件が起きる危険性をコントロールしきれるだろうか。
3月14日、ワシントンでの米英首脳会談後、オバマ大統領はイラン問題に触れ、「外交的に解決する余地は小さくなりつつある」との発言を行った。イランと、北朝鮮やシリアとの関係が報じられる中で、イランに対する国際世論も厳しさを増しつつある。例え「交渉」が実現したとしても、イランにとってはハードルが高いものとなるだろう。
現在、国際社会は対イラン交渉において、交渉窓口を開く以外に、公海(ホルムズ海峡)の安全航行を堅持するため、インド洋での軍事力を増強している。加えて、3月13日にイスラエルのミサイル艦がスエズ運河を通過し紅海に入ったとの情報もある。6か国とイランとの協議の状況いかんでは、イラン問題が一気に緊張するとも考えられる。その背景には、イラン問題が決着に向かえば、行き詰まりを見せているシリア問題や北朝鮮問題に影響を与えられることがあると考えられる。一方、イランへの軍事圧力強めることは、イラン側がペルシャ湾の封鎖を試みることや、サウジアラビアをはじめ湾岸産油国のエネルギー関連施設へのテロ行為を行うなどのリスクが高まることでもある。最悪のシナリオは、中東からのエネルギー供給が途絶えることだろう。果たして、国際社会はこのリスクをコントロールできるのだろうか。(おわり)
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