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2006-10-09 00:00
「官邸主導型の政策遂行態勢」はほんとうに大丈夫か
大藏雄之助
評論家
安倍新内閣で首相補佐官を5人にして官邸主導型の政策遂行態勢を整えたと言われる。しかし、「課あって局なし、局あって省なし」と言われるほどに縄張り根性の強いわが国の官僚組織で、いわゆるアメリカ型の効率的な運営ができるかどうかということになれば、かなり疑わしい。アメリカの場合は、大統領の政党が変わればワシントンで約3000人の幹部が political appointment で交代するから、党の公約がそのまま徹底する。日本では政権交代があっても事務次官の入れ替えさえない。
前に橋本行革で21省庁を12省庁に削減するということが行われたが、結果は二つの省を一つにしたのが大部分で、役人の数は減らなかったばかりか、省名や役職名の変更で実態がわかりにくくなっただけだった。役所が前例にこだわるのは必ずしも悪いことばかりではない。恣意的な裁量を排除して公平に処置する上ではやむを得ない。問題は省庁にまたがる事案の扱いである。
私は30年ほど前に有線テレビの開設を担当したことがある。その時、主たる許認可は郵政省であるが、電柱共架は通産省、道路横断は警察庁と管轄が分かれていて、電力会社は「郵政省の許可が得られていれば電柱の使用を認める」と言い、地方郵政局は「電柱を貸してもらえるという書類を提出すれば有線テレビを許可する」と言って、たらい回しをするために堂々巡りで空しく時間が経過した。まさに縦割り行政の弊害の最たるものである。
こういうとき、イギリスではすぐに authority (一種の行政委員会。日本では「機構」と訳されることが多い)という形式の統合事務局を設置する。先ほどのケーブルテレビであれば、新しい事務所に出願すれば、主たる許認可に付随する手続きはそこが一括して対応してくれる。市区町村の首長直属の「すぐやる課」の拡大版だ。これが実現すれば事務処理が格段に速くなり、風通しがよくなり、費用も軽減。一石三鳥ではないか。
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