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2012-05-16 00:00
野田は“暴走族”石原を制して尖閣を購入せよ
杉浦 正章
政治評論家
1日3000万円のペースで伸び続けている都知事・石原慎太郎の「尖閣諸島寄付金」が、都のホームページによると5月15日現在4万5000件で6億円を突破した。石原は欣喜雀躍で小躍りしているが、首相・野田佳彦はこの問題を放置したままでいいのか。13日の日中首脳会談では、石原の諸島購入構想を背景に激しい応酬が交わされた。石原発言はついに首相・温家宝をして尖閣問題を「中国の核心的利益」とまで表現させてしまったのだ。一自治体の長が「政府にほえ面かかせる」と発言したとおりの事態としてしまったのだ。野田はまるで“暴走族の総長”のいいなりになっているかのように見える。このまま暴走を野放しにして、武力衝突にでもなったら、一体誰が責任を負うのか。
石原への寄付金が続く背景には、国民の間に2010年の尖閣漁船衝突事件への民主党政権の対応に対する不満が根強く残っているのだろう。船長釈放を一地方検事の責任に転嫁して、政府の責任を逃れようとした当面糊塗策は、紛れもなく民主党政権最大の失政であった。その国民の政権への不満を蒸し返して、火をつけるのが石原発言の狙いであろう。一般大衆は、政府が何も反応を示さないから、素朴な愛国心もあって、寄付行為に出るのだろう。しかし、石原の行為は一介の自治体の長でありながら、国家の専権事項である外交・安保に身を乗り出して、これを蹂躙することを意味する。ノンフィクション作家・佐野眞一が毎日新聞の紙面で「ほえづらをかかせるという言い方は、“チンピラ”と同じだと思った」と述べているが、まさにチンピラと言うより、暴走族だ。寄付行為は、石原の増長ぶりを促進させ、日中関係にとってマイナスだけの意味しかない、ことを寄付者たちは知るべきだ。暴走族の総長に暴走行為を繰り返させるだけの意味しかないのだ。それにつけても、野田の無策ぶりには、近頃あきれて物が言えない。原発再稼働への躊躇(ちゅうちょ)、消費増税法案や定数是正を幹事長・輿石東の継続審議の意図を知りつつ放置。輿石が「衆参同日選発言」を繰り返しても、なぜか黙認している。そして尖閣で温家宝からドスを突きつけられて、反論をしたものの、石原をたしなめることに思いが及ばない。
そもそも石原発言が出た後、政府は尖閣諸島を国が買う方針を鮮明にさせているではないか。官房長官・藤村修が「今は政府が借りているが、必要なら国が購入する発想の下に前に進めることも十分ある」と述べ、国有地化する可能性に言及した。野田も国会で「所有者の真意をよく確認し、あらゆる検討をする」と国有化に前向きな答弁をしている。それにもかかわらず、石原が募金を開始しても何らこれを止めようとはしない。石原と野田は、4月27日、34分間会談しているが、尖閣諸島購入問題については話題にならなかったとしている。しかし、石原発言があり、野田が国有化に前向きな発言をしたばかりの時点での会談である。尖閣が話題に上らなかったことはあり得ない。逆に、購入について、野田と石原の間で何か“密約”のようなものがあってもおかしくない。石原は会談後「国に譲ってもよい」とも述べている。にもかかわらず、石原は寄付金募集をやめようともしない。善意の寄付が宙に浮くようなことを、この男ならやりかねないのだ。
いずれにしても、暴走族の総長は取り押さえねばなるまい。言うまでもないが、尖閣問題は石原の無責任な大風呂敷で処理できる問題ではない。石原の路線を突っ走れば、武力衝突の事態が発生してもおかしくない。中国をシナと呼び、「日本核武装論」を唱える石原にしてみれば、まさに思うつぼなのだろう。もちろん中国共産党副主席・トウ小平が「次の世代に任せる」と発言した“棚上げ方式”は、漁船衝突事件が象徴するように、中国の海洋進出で既に不可能となっている。しかし、日本の実効支配は継続しているのであり、中国は軍事的対応を避けている。石原の暴走でこのバランスを崩してはならない。尖閣問題はすぐれて日本政府が処理すべき問題であり、尖閣諸島は政府が地権者から購入して、その責任において処理すべき問題だ。ところが、最近の野田は、まるで政調会長・前原誠司の「言うだけ番長病」が伝染したかのように思える。2人の首相たちと同様のレベルに見えてきた。何かの1つ覚えのように「消費増税法案に政治生命をかける」と言っていれば、首相としての役割を果たせると思ったら大間違いであることを肝に銘ずるべきだ。とにかくもう民主党政権の統治能力は十分すぎるほど分かった。早期に解散して国民の信を問うべき時だ。
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