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2012-05-30 00:00
国際テロ活動の脅威を考える
水口 章
敬愛大学国際学部教授
4月26日、パキスタンでは最高裁がギラニ首相に対し、法廷侮辱罪で有罪判決を言い渡した。同国で現職の首相が有罪判決を受けるのは1947年の建国以来初めてである。同首相は最高裁に異議申し立てを行うとのことだが、有罪が確定すると憲法に基づき議員資格を失うことになる。こうした政治情勢を受け、同国のザルダリ大統領は首相の後任人事や来年予定されている総選挙、大統領選挙の前倒しの検討に入った。
問題は、このパキスタンの政情不安が、アルカイダやタリバンなどのイスラム過激派武装勢力の活動を活発化させる可能性があることである。アフガニスタンやインドではテロ活動に対する警戒の必要性が高まっている。特にアフガニスタンは気がかりで、4月15日に発生したカブールでタリバン勢力による大規模な政府施設への襲撃事件について、パキスン北西部に拠点を置く「ハッカニ・ネットワーク」犯行説が強まっている。このハッカニ派について、米国はパキスタン情報機関との関係があるとの疑惑を抱いている。
さらに5月1日は、パキスタンでアルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が米軍により殺害されてから1年目にあたる。カーニー米大統領報道官は4月26日に記者会見で、この時期に合わせてイスラム過激派武装グループがテロ計画を実行することが考えられるとの見解を示し、関係機関への警戒を指示している。2001年9月11日から十年以上が経つ中で、米国では国土安全保障省が設置され国民の安全確保に努力が払われてきた。しかし、「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)をはじめイスラム過激派武装組織が米国本土や海外の関係施設を標的とするテロ攻撃の脅威は、現在も続いている。
カナダの安全情報局(CSIS)のトップを務めるリチャード・ファシデン氏は、議会上院の反テロ委員会で4月23日、アルカイダはこれまでのグループ的行動から、単独犯による攻撃を呼びかけるようになっていると述べている。そうだとすると、犯行対策はより難しくなる。4月23日にロイター通信も英国、オーストラリア、米国の情報機関も単独犯への警戒を強めていると報じている。こうした見方に鑑みれば、欧米社会内でのイスラム教徒への監視の目は今後強まり、さらなる対立の芽が生まれるとも考えられる。それは、人の移動の自由度を高めるグローバル化の影の部分がうつしだされたものともいえるだろう。
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