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2012-06-07 00:00
限界を克服する力を大事にすべき
船田 元
元経済企画庁長官
最近の日本経済新聞の中で、全く分野の異なる領域ではあるが、奇しくも同じ問いかけをしている二つの出来事に出会った。そのテーマはいずれも「限界を克服する」ということである。ひとつは「左手のピアニスト」と称されて絶賛されている、舘野泉さんの話である。それまで国内外で第一線のピアニストとして活躍していた舘野さんが、10年前突然海外で脳溢血に見舞われ、右半身不随となってしまった。一時はピアノを弾くことをあきらめかけたというが、ピアノを弾きたいという希望が捨てきれず、左手だけでピアノを弾き始めた。
左手だけのピアノ曲は世の中にひとつもなかったため、国内外の著名な作曲家に熱心に頼み込んで、まったく新しいピアノの世界を作り上げた。片手だけだから半分の力しか出せないのではなく、両手の演奏では考えられない、新たなパワーと独特の音色を作り上げたのである。
もうひとつは国内の原発がひとつも稼動しなくなったいま、新たなエネルギー源が開発されようとしていることである。「低品質石炭」というエネルギー源で、総合商社・日揮が、それに含まれている多くの水分を特殊な技術で分解し、さらに添加剤を加えて、原油と代わらぬ火力を作ることに成功したという。しかもインドネシアをはじめとして、その埋蔵量は極めて豊富であるという。低品質石炭の1キロワット時の発電コストは大変安く、原発が10円、石油が20円、太陽光発電が40円という中で、約15円という低価格である。脱原発後の救世主となる可能性が大きい。
いずれのケースも、限界や制約をものともせず、むしろそれをバネとして、新たな可能性に挑戦するという、強い精神力と卓越した技術力を発揮した結果である。これこそが従来からの日本人の強さではないだろうか。我々はこのような精神力とパワーを大事にしていきたいと思う。
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