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2012-06-22 00:00
新防衛大臣に問いかけたいこと
船田 元
元経済企画庁長官
一川元防衛大臣、田中前防衛大臣と、続けて「素人大臣」と批判された野田内閣の新しい防衛大臣に、拓殖大学大学院教授の森本敏氏が就任した。わが国の安全保障政策の第一人者で、自民党の防衛政策のアドバイザー的存在であった。私も何回となくこの分野でアドバイスを受け、特に憲法改正問題では、集団自衛権の行使を実現する方向での指導を受けていた。
その森本氏が民主党政権の防衛大臣に就いたことは、我々自民党側にとって少なからぬショックである。就任を打診されたときは相当悩んだというが、彼の政治的スタンスや安全保障の理想からすれば、何があろうと断るべきではなかっただろうか。一方、2代にわたる素人大臣で失墜した対外的権威を回復することや、緊張の高まっているアジアの安全保障に対処していくには、森本氏はまさに適任だとも言えるのではないか。「民主党だ、自民党だ」ではなく、わが国の安全保障を立て直すという国家的見地からは、複雑な気持ちは整理できないものの、きちんと受け止めなければならないのだろう。
しかしながら、私は次の二つのことを森本防衛大臣に問いかけたい。ひとつは、シビリアンコントロールということを、どう考えているかということだ。人数は少ないが、民間出身の大臣は珍しいことではない。しかし重要な大臣、とりわけ防衛大臣は国家の安全保障を左右する、最重要な大臣である。この任務について国民を代表して遂行していくには、国民によって選ばれた国会議員でなければだめなのではないか。国民にきちんと責任が果たせないのではないか。森本氏は「きちんと仕事を果たしていく中で、責任を果たしたい」と述べたが、残念ながら説得力に乏しい。
もうひとつは、集団的自衛権についての持論を、決して封印してはいけないということだ。戦後から今日に至るまで、自民党政権はこの概念をめぐる議論に終始してきたと言っても言い過ぎではない。森本氏はまさにこの一点において、自民党の防衛政策をリードしてくれていたのだ。彼がこの概念の実現を諦めた途端、「森本敏」ではなくなる。閣内不統一といわれても、絶対に自説を曲げないで欲しい。むしろ民主党政権の防衛政策に、森本イズムを吹き込んでもらいたい。
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