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2012-07-06 00:00
川柳で斜めに詠めば、見えてくる
杉浦 正章
政治評論家
<脱藩の度に家来の質が落ち>は、最近の政治を風刺した読売時事川柳の秀逸句だ。ついに離党して新党を旗揚げすることになったが、小沢一郎の心中もおだやかではあるまい。家老とも言える代表代行には“疑惑山積”で国家公安委員長を棒に振った山岡賢次。幹事長には目立つのはひげだけの東祥三ではいかんともしがたい。まるで箱根の山中に巣くう山賊一家のような面々だ。チルドレンらは「ついてく」「ついてかない」で右往左往。新党の7割が落選必至のチルドレンでは、正直言って小沢も朝日川柳の<新党首子ども手当が欲しくなり>と言いたくなるだろう。
もっともこの川柳は意味深だ。というのも、<うるさくて電池抜かれた鳩時計>なのに、<またしても庶民に遠い母の愛>なのだ。鳩山兄弟に母親からの生前贈与が約41億円ずつとは恐れ入る。贈与税で半分持って行かれるが、それでも20億円の臨時収入とは近ごろケタ外れだ。おぼっちゃまだから、だまされて<母の愛あらぬところの軍資金>となってもおかしくはあるまい。母の慈愛の“子ども手当”が、“悪い友達”に皆持って行かれませんように、と国民はみんな祈っているのだ。半年間の党員資格停止処分を食らったことをこれ幸いに、ぽっぽさんは<鳩山ファイナンス半年休業>の張り紙をして、どこかに雲隠れしてくれた方が、政界もシロアリがたからなくていい。
しかし、ご本人は<叱られた意味も分からぬ元総理>で「何でわたしだけが6か月」と憤まんやるかたない。野田佳彦から「出て行ってくれて結構」と言われているのが分からない。反対したが離党しない残留組が集まって、なにやらすごみ始めた。「不信任案に賛成するぞ~~」だそうだ。離党が怖くて、欠席だの一部賛成だのにとどまった連中が、“脅し”をかけようとしているのだから、始末に負えない。これを負け犬の遠吠えという。すごみなどかけらもないのだ。同じ政党に属しながら不信任案賛成をあらかじめ公言するなら、離党してから行動を起こすのが憲政の常道であることが分かっていない。もっとも小沢が離党となると、音より早く急旋回して野田べったりとなった輿石東が、またまた反対組に“揉み手”をしだした。党員資格停止を決めた直後の党役員会で輿石は、「処分期間中であれば、公認候補にはならない」と「鳩山切り」を宣言したものだが、7月5日になって「公認にならないことはあり得ない」のだそうだ。一党の責任者が180度反対のことを言ってはいけない。
輿石の小沢グループへの気の使い方は並大抵ではない。小沢は<国民と言うほど国民遠ざかり>とも知らずに、新会派の名称を「国民の生活が第一」とした。これを、おもんばかって輿石は記者会見場の「国民の生活が第一」という民主党の政策スローガンが印刷されているボードを反転させて、党旗に張り替えさせた。他方、自民党だが、麻生太郎が「国民の生活が第一という新会派だそうだが、『選挙が第一』という名の方がいい」と皮肉れば、古賀誠が「小沢氏グループの生活が第一」とぼろくそだ。まさに<国民とすり寄られても気味悪い>だ。小沢のプロパガンダは「大増税だけが先行することは国民の皆様への背信行為。我々の主張は大義であり、正義であると確信する」の繰り返しだ。これに頂門の一針の川柳がある。朝日の<正義とか大義とか言う顔を見る>だ。実際「言ってる政治家の顔が見たい」というところだが、本人は近ごろ意識してテレビに顔を出す。そのうちに<正義づら大義づらなど見たくない>となる。国民は<正論を解体工事のたびに聞き>であり、聞かされる方の身になってもらいたい。まったく<壊して作る目指すはギネス>と言いたくなるのも分かる。
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