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2012-07-12 00:00
(連載)円元直接取引開始と在日中国大使館スパイ暴露(1)
藤井 厳喜
ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン代表取締
5月29日、読売新聞が一面で大きく、在日中国大使館員によるスパイ事件をスクープしたことは記憶に新しい。朝刊でこれを報道したのは読売新聞だけであり、他紙とテレビメディアはこれ追った。読売の見出しは「中国書記官、スパイ活動化?」「出頭要請拒否し帰国、軍出身身分偽り口座開設、警視庁捜査」「政財界の要人と接触」とかなりショッキングなものであった。この事件の暴露自体、アメリカの影響力が背後にあって行なわれたものではないかと筆者は推論している。
時あたかも6月1日には、円と人民元の直接取引が開始される事になっていた。このスパイ事件は、その直前に暴露されたわけである。米中冷戦の激化に目をつむり、中国に傾斜してゆく民主党政権に警告を与える為に、アメリカの軍や情報筋は動いて、このスパイ事件暴露に至ったのではないかと考えられる。在日中国大使館員が日本でスパイ活動を行なっているのは常識であり、特に、疑惑の人物である李春光一等書記官に関しては、警視庁も公安調査庁も長年に渡り、追跡してきている。しかし、「中国様」に頭の上がらない民主党政権では、日本国内の政治力学だけを考えれば、こんな事件が暴露される可能性は殆どなかった。民主党内のみならず、自民党やみんなの党の親中派の政治家は、今や戦々恐々としているであろう。
この事が分かるには、円と人民元の直接取引が如何に、アメリカにとって問題であったかを理解しておく必要がある。円元直接取引は、基軸通貨としてのドルの立場を弱体化させる措置である。ところが、中国側はこの事を明確に意識していたであろう。しかし、日本側ではこの事を明確に意識していた政治家や官僚は、少なかったのではないかと思われる。直接取引が行なわれる以前は、円と元との間の取引は米ドルを媒体として行われてきた。直接取引が行なわれれば、その分、為替市場におけるドルの需要量が減少し、これは基軸通貨としてのドルの立場を弱体化させるものである。
例えば日本の企業が、中国に物を輸出した時、支払いは円かドルか香港ドルで受け取る事になる。香港ドルは、米ドル本位制で運営されているから、事実上、円か米ドルでチャイナ側は日本に支払っていることになる。直接取引になれば、日本企業は元で受け取り、これを円に転換する事になる。媒体としての米ドルの役割は、なくなってしまうのである。もっとも企業が、対中取引以外の為に米ドルを必要としていれば中国側にドル建てで支払いを求める事は有り得る。円と元の直接取引によって、ドルの立場を弱体化させようとしている日本の民主党政権。そこに脅しをかける為に、アメリカサイドが、日中癒着関係のキーパーソンの1人であるこの李春光一等書記官のスパイ疑惑を暴露したのに違いない。日本の政財界は、対中人脈のキーパーソンであった薄煕来を失い、これに李春光スパイ事件が勃発し、対中人脈はかなり弱体化ないし劣化しているに違いない。これはアメリカにとっては望ましい状況である。(つづく)
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