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2012-07-17 00:00
(連載)日本再生戦略をどう生かすか(1)
角田 勝彦
団体役員
野田首相を議長とする国家戦略会議が昨年10月から検討してきた「日本再生戦略」の原案が7月上旬明らかになった。今後、与党の党内手続きを経て8月に閣議決定され、13年度予算編成で政策が具体化される由であるが、すでに本戦略は官僚の総花的我田引水の作文で、成果はあまり望めないとの批判が出ている。しかし総花的とはいえ膨大な専門的な検討の上に政産学の討議が重ねられた結果の成長戦略である。堅調な個人消費と東日本大震災の復興事業をテコに、ようやく景気が回復してきた時期で、成長への長期的新戦略・戦術を定める良い機会でもある。
少子高齢化とデフレの日本にとって成長戦略の強化は喫緊の課題である。国民は政局に振り回されない長期的成長政策の樹立を望んでいる。日本再生戦略を野田内閣限定の知的財産とするのはもったいない。消費税と同様、民主・自民・公明の協議による長期的政策合意が期待される。
野田首相は、6月18日メキシコのG20で、「消費税率引き上げを含む社会保障と税の一体改革関連法案の成立に努力している」と強調するとともに、「日本経済にとって財政再建と成長は車の両輪だ」と言及し、「日本再生戦略を通じて経済の再生に取り組んでいる。2012年度は2%を上回る成長が可能になる」と述べた。EUの債務・金融危機や中国経済の減速など世界経済の先行きが暗いこの時期に、明るい国際公約と受け取られた。円高が進むのは痛し痒しだが、日本経済の将来に対する期待が強まったことを示すともいえよう。国内では、遅れていた総額20兆円近い復興予算の執行が、これから本番を迎える。追い風を生かし、適切な施策が講じられれば日本経済は確かな成長軌道に乗る可能性がある。
成長戦略の強化は財政再建に優る喫緊の課題である。例えば失われた20年の不況は、日本の未来を背負う若者の気力を衰えさせている。少子高齢化にかかわらず若者の就職難が深刻化しているのである。2011年の15~24歳の完全失業率は20年前に比べると2倍近くの8.2%になった(全世代では4.5%)。学校を出た24歳以下の10人に1人は失業し,2人はアルバイトなど不安定な仕事で生きている。財政面でも社会保障の担い手が足りなくなろう。(つづく)
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