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2012-07-23 00:00
「大人の外交」を展開せよ
船田 元
元経済企画庁長官
先日は上野動物園でパンダの赤ちゃんが生まれたが、わずか1週間で亡くなってしまった。日本での出産が24年ぶり、自然交配では初めての快挙だっただけに、大変残念だった。上野動物園の園長が死亡報告の記者会見で、途中から嗚咽が堪えきれず、副園長に代わってもらうというハプニングがあった。飼育員が24時間態勢で大切に育てていただけに、感極まったのではないだろうか。
ところがこの赤ちゃんパンダをめぐって、日中間の外交問題に発展しかねないことが起こった。中国から寄贈されたオスのリーリーとメスのシンシンの子どもとして生まれたが、尖閣諸島の領有権をめぐって、石原東京都知事が「いっそのことセンセンかカクカクと命名して、中国に送り返したらどうか?」と発言したのである。
尖閣諸島は日本固有の領土であり、それを所有する民間人から購入しようとする知事の行動は、大いに評価される。また尖閣周辺の領海を侵犯した中国漁船の船長を捕まえたものの、政治的配慮で釈放してしまった民主党政府が、今度は国が買い上げる方針を打ち出したことは、唐突ではあるが一歩前進ではないだろうか。
しかしパンダの赤ちゃんと尖閣問題を同じ次元で語るのは、あまりにも大人げない。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というような態度は、戦前の暴走した日本人の悪弊と同じではないだろうか。中国と日本は「一衣帯水」の間柄、気に入らないからといって、引っ越すわけにはいかない。領土問題はきちんと主張すべきだが、一方では友好のチャンネルも開いておく必要がある。これが「大人の外交」「複眼的外交」ではないだろうか。
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