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2012-07-25 00:00
(連載)転換点を迎えつつあるシリア情勢(1)
水口 章
敬愛大学国際学部教授
7月19日、ニューヨークの原油先物相場が7日続伸し、WIT(8月物)で1バーレル92.66ドルをつけた。この上昇要因としては、次のような点が挙げられる。(1)18日のシリアの治安本部での爆発事件によりこの地域の情勢が悪化し、主要産油国であるイラクやイランにも悪影響が及ぶことへの懸念、(2)イラン核開発阻止への国際圧力が高まる中で、イランがペルシャ湾での国際原油取引を妨害する計画を練っているとの情報が流れていること、(3)米国が中心となり、9月16~27日にペルシャ湾で軍事訓練が実施されること(日本の海上自衛隊が参加予定)、(4)18日にブルガリアで起きたイスラエル人観光客を狙ったバス爆破事件(イスラエル人5人を含む7人が死亡)に関し、イスラエルのネタニヤフ首相がエルサレムでの記者会見で、「イランのテロの手先であるヒズボラが実行した」と述べ、イスラエル・イラン間の緊張が高まっていること。
これらのうち、(2)(3)(4)はイランと直接関係する地政学的リスクである。しかし、(1)は、リスク連鎖の観点で予測されるシナリオであり、実際は原油供給量の減少には直接結びつきにくい。しかし、中東地域の出来事となるとすぐにエネルギー安全保障と結び付けられ、市場関係者が動くことで原油価格が押し上げられる状況にある。こうしたことから、以下で、シリア情勢が今後どのようなリスク連鎖を起こす可能性があるのか、もう少し考えてみたい。
現在のシリア情勢は、18日のダマスカスの爆破事件によって一つの転換点を迎えたといってよいだろう。ヨルダンのアブドゥラ国王も「シリアの政権にとてつもない打撃だ」と述べ、18日のCNNテレビとのインタビューでは「全面的な内戦という最悪のシナリオになりつつある」との発言をしていることから、こうした認識を持っていると思われる。
そして今後、戦闘が激化すればするほど、カーニー米大統領報道官が19日に述べた状況、すなわち「将来のシリアにはアサド大統領が含まれないこと」が「明白」になってきている。シリア国民会議のアブデルバセット・セイダ議長は18日、政権は数週間あるいは数カ月で崩壊すると予測している。一方で、ブルッキングズ研究所のドーハ・センターのサルマン・シャイクがAP通信でコメントしているように、政府軍の連携性は維持されており、政権が短期的に崩壊するとは考えにくいとの見方もある。(つづく)
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