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2012-07-26 00:00
いじめへの対応としてスクール・カウンセラーを活用せよ
金子 弘
日本学習社会学会会員
いじめを背景に自殺したとされる生徒への対応に問題があったとして、大津市教育委員会とその管下の某中学校の対応ぶりが、批判されている。いじめはどの学校においても起こりえることであるが、それは複雑多様となってきており、いじめを発見することは、日常的に児童生徒と接している教員でなければ難しい。しかし、いじめへの対応は教員だけでは自ずと限界がある。なぜなら、学校の教員は教科を教える教科教育の専門家ではあるが臨床心理の専門家ではないからである。大学の教職課程や教育学部・学科等で心理学系の科目を履修していても、同様である。
これとは対照的に、スクール・カウンセラーは学校外の専門家といった外部性を持っているとともに、教員とは異なる臨床心理の専門的な知識・経験を生かして対応することができる。実際、スクール・カウンセラーを派遣した学校のいじめの発生件数(平成13年7,887件→平成16年6,203件、21.4%減)は全国の発生件数(平成13年22,841件→平成16年19,466件、14.8%減)よりも低い数値となっている。
しかし、このような効果を発揮している統計結果があるにも関わらず、文部科学省によれば、いじめに対する日常的な取組みとして、スクール・カウンセラー等を積極的に活用していじめの相談にあたったのは、公立小・中・高等学校・特別支援学校で56.6%に留まっている。同じく文部科学省によれば、スクール・カウンセラーを週4時間以上定期配置している公立の小学校は10.3%、中学校は56.5%、高等学校は28.0%に留まっている。
一方で、外国のスクール・カウンセラーの配置状況をみると、ドイツでは全16州で学校や教育行政機関に配置されている。アメリカでは1996年現在、全米で約8万8千人が公立学校に配置されており、外国ではスクール・カウンセラーは定着した制度のようである。こうしたことから、学校や教育委員会は臨床心理の専門的な知識・経験を持ったスクール・カウンセラーをいじめへの対応として積極的に活用するべきである。また、スクール・カウンセラー制度の推進のための基盤を整備するべきであると考える。
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