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2012-07-28 00:00
(連載)丹羽駐中国大使の早期引退を勧める(1)
平林 博
元大使
丹羽宇一郎駐中国大使の評判が、すこぶる悪い。丹羽大使の駐中国大使任命は、当初から誤りであった。わが国の駐中国大使は、極めて難しいポストである。丹羽大使は、優れた企業人であり、財界活動や政府への政策提言に貢献した。にもかかわらず、丹羽大使は、現下の厳しい日中関係の下では適任ではなく、個人的にも晩節を汚しつつあるのは残念である。任命した者の見識も問われる。
丹羽大使は、英国のフィナンシャル・タイムズ紙へのインタビューで、石原知事の東京都による尖閣諸島購入構想につき、「実行された場合、日中関係に深刻な危機をもたらす」と批判した。世界的に読まれている英国の一流紙であるから、大使の発言は、中国内のみならず、世界に発信された。外交官は、本国政府に対し公電などにより率直に意見を具申することを求められるが、このような重要な問題に関し、勝手にしかも外国のマスコミに対して私見を述べることは、思慮に欠ける行為であった。外務省内でも問題視されたのは、当然である。玄葉外務大臣は、6月8日の記者会見で、「7日に私の名前で注意したのに対し、謝罪があった」と明らかにした。
事件は官邸にも及んだ。7月13日、藤村修官房長官は、「個人の見解で、政府の立場を代表したものでは全くない」と打ち消した。政府は、佐藤正久参議院議員からの質問主意書に対し、7月19日の閣議で、「政府の立場を表明したものではなく、不適切であった」との答弁書を採択し、公表した。野党のみならず、前原誠司民主党政調会長など与党の有力者からも、厳しく批判された。野田佳彦首相も、国会答弁で、「国益から逸脱する可能性がある」と答弁した。これに先立つ5月4日、訪中した横路孝弘衆議院議長と習近平国家副主席(次期国家主席とされている)との会談の席上、丹羽大使は驚くべき発言をしたようだ。同行筋によると、大使は、日本国内で石原構想に賛成する者が多数を占めることについて、「日本の国民感情はおかしい」「日本は変わった国なんですよ」と述べた由である。
丹羽大使に対する批判・非難はやまず、ほかの面での過度の対中融和発言も明らかになった。中国へのODA継続論も、その一例である。わが国は中国に対し、1979年以来、有償・無償援助及び技術協力をあわせて3兆円以上の巨額のODAを供与してきたが、今や世界第2の経済大国になり、アフリカをはじめ多くの途上国に多額の援助を行っている中国に対しては、ODAは必要ない。日本政府も、数年前から中国はODAを卒業した(必要なくなった)ものとし、わが国も裨益する黄砂対策のための植林事業や人道的な見地からの災害援助、更には政府ではないNGOや地方団体を通じた「草の根無償援助」などに対中援助を限っている。(つづく)
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