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2012-07-29 00:00
(連載)丹羽駐中国大使の早期引退を勧める(2)
平林 博
元大使
7月15日、大使は日本政府から一時帰国を命ぜられたが、更迭にはならず、短時日で北京に帰任した。しかし、国民の強い批判を浴び、政府や国会からの叱声を受け、辞任コールが続く丹羽大使を、中国が本当に尊重し、尊敬するだろうか。中国としては、大使が今後ともどれだけ中国の役に立つかを見守るだろうが、政府を代弁する大使として信用することは、もはやないであろう。大使は、日中双方の政府から屈辱的な扱いを受けながら、任期を全うすることになる。晩節はさらに汚される。
そもそも日本を代表する駐中国大使は、日中関係の歴史や国交樹立とその後の日中関係、更には中国をめぐる国際関係や東アジアの情勢に精通している必要がある。中国人との付き合いの経験や中国語の能力も必須である。通訳をつれないと仕事ができないのでは、十分かつ正確な情報収集や要人とのじかの接触もままならない。いかに経済人として優れていても、それだけでは駐中国大使は務まらないのである。何よりも、大使たる者、現在の中国に対しては、日本の国益をしっかりと主張し、これを守る気概を必要とする。その上での友好関係である。逆ではない。
程永華大使を含め歴代の中国の駐日大使は、一方で日中友好を唱えながらも、他方で尖閣問題を含む日中間の争点については、堂々と中国の「国益」を主張する。中国は相変わらず愛国・反日教育を行っており、歴史問題を対日外交圧力として用いている。乱暴にも、歴史的にも法的にもわが国の固有の領土である尖閣列島の領有権を主張し、最近では尖閣周辺の領海や排他的経済水域に漁船のみならず、漁業監視船等の公船をも侵入させるようになった。日本の巡視船が退去を命ずると、昨年は、漁船が体当たりをしたし、最近では、日本の領海に入った中国の公船が「自国の領海で警備をしている」とうそぶく。しかも、これは日本相手だけに限ったことではない。
日本からフィリピン、更には南シナ海までの以西海域を第1次防衛線として「核心的利益」と称し、さらに第1次防衛線の東にある日本以南、グアム以西の海域を第2次防衛線と称して、これらの海域で軍事的に優位に立とうとしている。ベトナム、フィリピン、マレーシアなどの沖合にある南沙、中沙、西沙群島は「中国の領土だ」と主張して、武力を背景に実効支配を広げている。インドとのヒマラヤ国境でも1962年のインド侵攻以来のハラスメントを止めず、インド洋への進出も図る。他方、シベリアや極東ロシアには大量の中国人を送り込んでロシアを警戒させている。(つづく)
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