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2012-07-30 00:00
(連載)丹羽駐中国大使の早期引退を勧める(3)
平林 博
元大使
こう見てくると、中国は、文化的にも経済的にも重要な国であるが、わが国や周辺諸国にとって安全保障上の大きな懸念材料である。1978年に締結した日中平和友好条約第2条には、中国の主張により「(日中両国は)覇権を求めず、覇権に反対する」と明記されているが、現在、中国は、その覇権主義を隠そうともしない。
現在の野田政権は違うようであるが、鳩山政権と菅政権は、官僚不信の一環として外務省への不信感があり、職業外交官を軽視する傾向があった。丹羽大使も政治任命であり、政治優位を示す意図と官僚不信とがあいまってもたらした人事である。鳩山首相は、「友愛」の精神で対中外交ができると錯覚した。小沢元代表は、100人以上の国会議員を連れて行き、一人ずつ順次、胡錦涛国家主席の前に進み出て、握手させた。その映像は、さながら朝貢外交の再来かと思わせた。丹羽大使の任命も、このような感覚の表れではなかったのか。しかも、日本にとって最大の市場である中国市場において互いに競り合っている6大商社の中から、1社のトップ経験者を大使に任命することは、それだけで疑問符が付く。
大使の外部登用を否定するものではない。しかし、いまだに対日強硬路線を取り、わが国の領土を犯す中国、ロシア、韓国への大使は、真にガッツのある適材でなければならない。一歩譲って、政治的な動機や処遇のために財界人などに大使のポストを与えるのであれば、わが国とは極めて円満な関係があり、難しい役割を果たさないで済む国に任ずるべきであろう。外務省は、21世紀に入ってから、一定の範囲内で外部からの大使任命を進めてきた。企業からも、登用した。しかし、それらは友好国や問題のない国々であった。
丹羽駐中国大使は、任命の当初から英語で言う ill-fated baby(不幸な運命の下に生まれた子)であった。わが国にとっては勿論、民主党政権にとっても、さらにご本人にとっても、不幸なことであった。経済人として多くの功績を残してきた丹羽氏であるが、大使としては退き時である。(おわり)
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