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2012-08-02 00:00
尖閣諸島の実効支配を早急に確立せよ
松井 啓
元駐カザフスタン大使
最近出席した日本の海洋安全保障の諸課題への対応に関する報告会に触発され、以下に提言を記すので反論を期待する。
日本は北方領土と竹島及び尖閣諸島という3つの領土問題を抱えている。いずれも我が国固有の領土と主張しているが、3つのうち北方領土はロシアに、また、竹島は韓国に実効支配されたままになっており、日本はその変更に手出しできない状態である。尖閣諸島に関しては、中国が自国の領土であるとして日本の実効支配を脅かしている。同諸島は中国にとっても戦略的・地政学的にも資源、領海の確保の観点からも大変重要な拠点であり、いかなる手段を使ってもここを確保したいであろう。他方、日本の固有の領土であるならば、民有地、都有地であるか国有地であるかは日本の国内問題であり、中国が口出しする権利は全くなく、中国の「ご意向」を忖度する必要は全くない。日本は堂々と実効支配を確立すべきである。
上記報告会では、取りあえずはこの諸島の気象観測、潮流の調査、アホウ鳥の生態研究を計画しているようであるが、優先順位から言えばまず島の確保、漁業資源保護が第一であろう。日米安保条約に頼ったり、逆に気兼ねしたりせず、日本が独力でも支配し守り抜く気概と実力を示すべきである。そのためには一気呵成に船着き場を作り監視所を設立し、常駐の駐在員を置いて、この問題に最終的決着をつけるべきである。北方領土では韓国人、中国人等多くの外国人が雇用されているとの新聞報道もある。尖閣諸島に常住を希望する日本人が少ないのであれば、中国と南シナ海で争っているヴェトナムやフィリピンから希望者を募って雇用すればよいであろう。
以上のことは南鳥島についても同様である。早急に船の停泊所やそれに隣接して観測所を作り、これが岩礁(従って領土ではないとの中国の主張)ではなく島であることを確立すべきである。領土保全に金を惜しむべきではない。参考までにフォークランド紛争(イギリスが実効支配していた同諸島に1982年アルゼンチンが侵攻)の際のエピソードを記す。両国の仲介に入ったレーガン米大統領が当時英国経済が不調であることもあり、多大の犠牲を払ってまで遠方の小さい島を領有する意味をサッチャー首相に問うたのに対し、首相は「イギリスが1万3千キロも離れたフォークランド諸島をアルゼンチンの攻撃から守ったのは一重に国家としての名誉と国際法が力の行使に勝たなければならないという原則のためである」と語り、「アメリカは真珠湾を攻撃されてハワイを手放したのか」と反駁して大統領を黙らせたとのことである。
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