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2012-08-26 00:00
(連載)尖閣問題は時間との勝負、国際司法裁判所の活用も(2)
北原 二郎
会社員
そうした中国のくせ球に即応できるだけの外交政策の立案と、綿密なる準備と、国際世論を味方に付ける言論戦を開始する必要がある。国際司法裁判所への提訴が行われた場合でも、裁判の結果が自国に不利になることを恐れた中国が「二国間の交渉で平和的に解決しよう」と(一見軟化した)要求をしてくるケースも考えられる。日本はその場合でも、「国際社会の場で、国際司法裁判所の判断を仰ぐべき」と主張し続けることが肝要である。ガス田を巡る交渉を見れば分かるように、彼らとの二国間交渉は難航するし、軍事力増強の時間稼ぎをされるだけである。
また、1970年から尖閣諸島を中国領であると主張し始めた中国共産党が、自国民へのマスコミを通じた教育を40年に渡って行ってきた成果により、悲しいかな「尖閣は中国領」と信じて疑わない13億人の民意が生み出されてしまっている。さらに一部国内向けには、「琉球(沖縄)も中国領」との主張さえも散見されるようになっている。中国政府が国内世論へのメンツを保つ為に、天然資源や漁業での漁獲割り当て等、日本が彼らに対して妥協できる部分がどこなのかも、検討が必要であろう。
残された時間は限られている。10月1日の国慶節のタイミングか、東京都による尖閣購入(ないしは国有化)のタイミングで、中国が次なる挑発(例えば数十隻の漁船を尖閣に差し向ける事態)も考えられる。「中国も軍事衝突までは起こさないだろう」といった「性善説」は、国際社会において、とりわけ中国との関係では通用しないことを肝に銘じるべきだ。
また、10年、20年先、西太平洋における米国と中国の軍事バランスは、残念ながら現段階とは様相を異にしているであろう。このように考えると、尖閣問題については、実効支配の強化は当然行うべきとしても、時間が勝負であり、米国の軍事力の優位が揺るがぬ内に、国際司法裁判所をも利用することで、問題を国際化する必要がある。先送りを続けるなら、尖閣諸島に人民解放軍が駐留する日が現実になるかもしれない。尖閣問題は、国家の興廃を決定づけるとの危機感が、今こそ日本政府に求められているのではないだろうか。(おわり)
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