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2012-08-31 00:00
2018年(明治維新150周年)を日本再生元年としよう!
松井 啓
元駐カザフスタン大使
太平洋戦争が収束してから67年が経った。東西冷戦構造が崩壊後の国際関係は流動化し、新興国の台頭による世界秩序の再編成、経済金融世界における国境線の消滅とグローバル化が進展している。特にアジア太平洋地域では中国の経済的・軍事的台頭により米中間のパワー・バランスが変化しつつさる。日本経済は失われた20年が過ぎても改善の見込みがなく、2011年3月の東日本大震災を経て、資源・エネルギー・食糧の安全保障、防衛問題、財政赤字、人口の少子高齢化、貿易・金融のグローバル化、産業の空洞化、基礎教育の劣化、若者の内向き志向、グローバル化に対応できる人材の不足等々の問題が山積している。この事態に対応できる構造改革が必要なことは、いまや一層鮮明となった。安全保障面では、日本の弱みにつけ込んで、ロシア、中国、韓国の攻勢が積極的となり、独立国家の最も基本的な国民の生命と財産、領土保全さえ満足に確保できない状況となっている。国益を見据えた成長戦略、TPP等の経済のグローバル化への参画の決断もできていない。7月には日本再生戦略が提示されたが、東日本大震災の復興の遅れ、原発事故の後遺症に加え、8月29日には南海トラフト地震が起これば死者数は最大32万人との想定が発表された。交通インフラ、建造物の耐震化、安全な原発の開発国際協力の推進等、提起された問題は多い。
膨大な累積債務を抱える中で政界、経済界、官僚、学者を含めたオールジャパンの体制で早急に具体化・実行に移していかなければならない。他方、各政党とも長期的ビジョンと強いリーダーシップを持った指導者が不足しており、政治理念が不鮮明であるため、地方、中央での選挙の投票率が40%以下の場合が多く、更に、高給を食む政治家が重要法案をそっちのけにして目先の政争に明け暮れている国会の現状に有権者が失望していることは、政党支持率が自民19%、民主14%に比し、無党派層が52%であること(朝日の世論調査)に端的に表れている。このような状況下で政界再編の動きが見え始めており、長期的国益を最優先した戦略の策定とそれを果敢に実行できる安定政権の必要性に対する認識が高まっている。
日本は1868年の明治維新により近代化を決断し、1945年の敗戦により第2の開国に踏み切った。今やグローバル化の波に乗り遅れないよう、第3の開国に踏み切るべき時である。そのためには、太平洋戦争敗戦によって制定され、その後の国際情勢の変化にもかかわらず手を加えられていない日本国(平和)憲法に関する国民的議論を盛んにする必要がある。まず、独立国家として自国の安全は自国の軍隊で衛ることを憲法に明記する必要がある。中国やロシア、韓国、北朝鮮に対する抑止力となる最低限の軍事力を持つ「普通の国」になるべきであろう。安定政権が生まれるような議会制度の創設も重要である。グローバル化に対応できような経済・社会・教育制度の改革、少子高齢化を踏まえた社会保障システムの再編、財政再建計画の策定、原発問題を含めた資源エネルギーの安全保障、農業の競争力強化、貿易自由化の推進等々解決しなければならない問題は山積している。ぬるま湯に浸って決断を先送りしていては「ゆで蛙」になってしまう。早急に動き出す時である。
その過程で、日本という国のあり方、生き方(日本特有の自然との調和意識)、市場経済と民主主義体制のあり方などについても論議すべきである。日本国民は国家目標につき合意に達すれば努力を結集して大きな成果を生み出すことができる。来る2018年は明治維新150周年となる。それまでに日本の足腰がしっかりとして、真に「国際社会において名誉ある地位を占め」、日本再生元年としてこの節目の年を祝うことができることを大いに期待している。2020年に「東京オリンピック」が開催されることになれば、再生日本を国際社会にアピールする絶好の機会となろう。
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