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2012-09-02 00:00
領土問題について国民に学習の機会を提供せよ
金子 弘
日本学習社会学会会員
尖閣諸島、竹島の問題は世代によって主張に隔たりがあるように思う。その一方で、これらの問題は、北方領土問題のように今後更に長期化するものと考えられる。更なる長期化で問題となるのは、今後中核を担うこととなる20~40歳代の世代にこれら領土問題のことがしっかりと受け継がれているのであろうかということである。初等中等教育学校の学習指導要領に北方領土問題が明記されたのは、平成元年の改訂から、そして竹島の問題は平成20年の改訂からである。尖閣諸島については学習指導要領に例示されていないものの、指導する必要があることは明らかである。
このように領土問題に関する教育の充実が図られてきているが、各学校での実際の授業時数には教育方法によって幅があるものとされているとともに、平成元年の学習指導要領の改訂から高等学校で日本史が必修ではなくなっていることから、同世代の間や世代間で領土問題の学習の程度に差があるものと考えられる。これを表す内閣府の北方領土問題に関する特別世論調査(平成20年11月)がある。同調査によると、初等中等教育学校ですべての者が学習しているはずである20歳代で「北方領土問題を学習した」と答えているのは58.6%の者に留まっている。このことから同世代の間で北方領土問題の学習に差があることがわかる。そして30歳代で59.6%、40歳代で39.8%等となっており、全体では29.6%に留まっていることから、初等中等教育学校で学習をしていないまま社会人となっている者が相当数おり、世代間で学習の程度に差があるといえる。これらのことを尖閣諸島、竹島の問題に置き換えてみると、同様のことがいえるのではないかと考える。また、学習の程度に差があることが、世代間で主張に隔たりがある原因になっているのではないかと考える。
こうしたことから、初等中等教育学校で領土問題を学習せずに社会人となってしまった者に対して、領土問題の教育をいかにしていくのかが問題であるといえる。したがって、対策としては、大学学部・大学院研究科に(歴史学、地理学等の専攻を持つ大学の生涯学習講座等を活用して)領土問題に関する学習をすることができる機会を提供するべきであると考える。大学の生涯学習講座を活用する理由は、第一に大学の持つ資源をそのまま有効活用することができるからである。そして、第二に大学は公開講座等を通じて、質的に高度で体系的かつ継続的な学習機会を提供する役割を果たすことが期待されているからである。
他方で、初等中等教育学校で領土問題について学習しなかった者のうち、大学学部・大学院に在籍している者には、その大学・大学院が責任を持って教育すべきであると考える。その際、習得した単位を卒業・修了要件の単位数に含める等の運用を行うべきであると考える。
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