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2012-09-12 00:00
母親の役割と社会進出
松井 啓
元駐カザフスタン大使
私が拙稿「家庭における主婦の役割を再認識しよう」で、家庭での「かあちゃん」の重要性を強調したのは、女性を家庭に閉じ込めておこうとの意図のよるものではありません。日本では家庭の主婦(かあちゃん)の重要性が十分に認識されていないどころか、過少評価されいるので、今後時間をかけて女性が安心して子育てをし、社会に進出できる社会システムを作っていくことを提案したかったので、中山太郎氏の御意見には大いに賛成です。
日本では子供を抱えている女性、特に母子家庭では、朝には子供に食事を与え、必要ならお弁当を作り、ゴミを分別して捨て、託児所、保育園や幼稚園に送り届けて、仕事が終われば食料品の買い出し、子供の引き取り、掃除、洗濯、夕食の支度と、休む暇もなく、心身ともにストレスがたまる一方です。これでは子どもを産むインセンチブは低くなり、教育費のことなども考えれば、一人を育てるのがやっとです。これが日本の少子化の大きな原因でもありましょう。
ヨーロッパでは、職場での女性管理職の比率を一定以上に保つことを義務付けている国、スウェーデンやイタリアのように女性閣僚が半分いる国もあります。日本の女性議員数は、アジアでも低いままです。これは要するに、日本の社会システムが女性の進出を難しくしているからで、抜本的な意識改革が必要でしょう。インド、パキスタン、バングラデシュ、東南アジア諸国で女性の社会進出(大企業幹部、議会議員、閣僚、国際機関幹部等)が多いのは、大家族制による手助けがあったり、家内労働力(女中等)が安いせいもあります。もちろん日本では、男性が助けている例も多くなってきていますが、小さい子供が幼稚園や学校から帰ってきても、家が空で、留守であるのと、母親が待っていてくれるのとでは、大違いです。拙稿で述べましたように、まともな子供が育つには、しっかりと子供を見つめる母親の存在が必要なのです。
家庭は、社会の基盤です。子育ては未来の社会を作るための重要な仕事であることを再認識し、少なくとも子供が小学校を卒業するまでは、母親が家庭に留まり、安心して子育て(二人でも三人でも)ができる制度が必要です。子育てを終えた女性がスムーズに職場に復帰できる社会システムを構築すべきです。それには個々の企業ではなく、社会全体で負担する制度や金銭的補填、手当や保証等を含む関連諸制度の設定、財源の確保が必要です。そのことについて国民的な議論により、一つひとつ解決して、女性が母親として子育てに専念でき、しかも社会でも活躍できる社会を作っていくことが、足腰のしっかりした日本を再生することにつながるのではないでしょうか。
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