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2012-09-16 00:00
(連載)成長戦略にもっと関心を(2)
角田 勝彦
団体役員
このため政府は、7月31日、日本再生戦略を閣議決定した。環境や医療、金融、中小企業、アジア太平洋貿易、観光など11の戦略分野で450項目に及ぶ施策(重点施策は38)を挙げ、新しい市場や雇用の創出を目指す数値目標を多く盛り込み、達成までの工程表も明示している。(1)更なる成長力強化の取り組み(8戦略)、(2)分厚い中間層の復活(3戦略)、そして(3)世界における日本のプレゼンス強化、という3つの観点から、日本再生のための具体策として、11の成長戦略と38の重点施策を明示しているのである。成長が見込める環境関連分野と医療・介護分野で2020年までに計100兆円の市場を創出し、計420万人を超える新たな雇用を生み出すことが柱である(農林漁業分野をもう一つの分野にしたのは政治的考慮からだろう)。2020年までの経済成長率は平均で名目3%、実質2%の実現を目指しデフレ脱却につなげるとしている。
日本のGDPが世界のGDPに占めるシェアは、1995年から2010年の15年間で18%から9%へ半減した。この間世界GDPが倍増したのに日本経済が同規模にとどまったためである。同じ期間に中国は8倍、ロシアは5倍になった。中国のシェアは3%から10%になっている。日本の相対的国力低下は明らかである。是正のためには成長が不可欠である。2013年度予算概算要求のうち「環境・エネルギー」「健康」「農林漁業」の3分野を含めて成長が期待できる分野への重点要求は約1.8兆円だった。起爆剤となることを期待したい。
エネルギーについては、原発の問題がある。脱原発依存にこだわると実質2%の経済成長は困難である。地球温暖化に関する日本の公約「2020年に1990年比25%削減」の実現もほぼ不可能とされる。しかるに政府は9月14日のエネルギー・環境会議(議長・古川国家戦略相)で、中長期の原子力発電への依存度を示した「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したが、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と明記し、脱原発に向けた方向性を示した。
選挙目当てとの見方も多い。経済などへの影響があれば見直す規定も盛り込んでおり、野田首相は「見通せない将来について、あまりに確定的なことを決めてしまうのは、むしろ無責任だ」と説明し修正の余地を残した。自民党総裁選に出馬した5人は全員が野田首相を「典型的なポピュリズムだ」(石原氏)などと、そろって批判している。「近いうち」の総選挙で成立する新政府は、「30年代に原発ゼロ」を再考することとなろう。(おわり)
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