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2012-09-29 00:00
野田総理の国連総会演説を高く評価する
北原 二郎
会社員
野田総理の国連総会演説は、「国際法に則って領土をめぐる紛争は解決すべきである」こと、そして「自らの主張を威嚇によって実現しようという試みは国連憲章に反する」ことを、日本の主張として堂々と世界に訴えたものとして高く評価される。これまでの「領土問題は存在せず」というだけの、内向きの発言を繰り返してきた日本外交から見ると、隔世の感があるが、これはほんの始まりに過ぎない。まさに杉浦正章氏が述べておられる通り、日中の“宣伝・広報戦”の火ぶたが切って落とされたと言えよう。
昨今の中国の報道を見ると、北方領土を巡る動きに紙面を割く傾向があるが、その意図は至って明確である。すなわちメドベージェフ首相(元大統領)の「第二次世界大戦の敗戦国である日本は、戦後処理の一貫として北方領土を失った現実を受け入れるべきである」との発言を大々的に報道していくことで、尖閣問題と北方領土問題をオーバーラップさせるよう誘導しているのである。尖閣諸島は「日清戦争で日本が奪った領土」であるから、「第二次世界大戦の敗戦国日本は台湾と共に尖閣を放棄したはずだ」との主張である。
このような主張をマスコミに浸透させ、日本包囲の世論を作るべく画策している。何百万という海外在住中国系住民の存在も無視できない。こうした中国による“宣伝・広報戦”への対処方法としては、まさに杉浦氏の述べられている通り、地道かもしれないが、各国マスコミへの日本外交官らによる啓蒙活動が軸となるであろう。これに加え、国際法・国際政治を研究する各国大学や学術機関への宣伝活動や、各フォーラム、セミナーといった場を捉えて論客を送り込むことも有効であろうし、国の年間予算の一部を領土問題の為の広報宣伝費として計上しても良い。いずれにしても知恵を絞って頂きたい。
筆者は、これまで本欄への9月15日付け「尖閣諸島への中国監視船6隻来襲は序章に過ぎず」や9月17日付け「尖閣問題:野田総理の国連総会演説に向けて」などの投稿を通じて、「国際世論を味方につける言論戦」を尖閣問題解決に向けた4つの柱の一つとして挙げて来た。これは他の3つ、即ち「実効支配強化」「国際司法裁判所活用」「日米同盟の立て直し」を進める上でも土台になる。杉浦氏の述べておられる通り、「国際世論を味方につける(ための日中の)言論戦」は長期に渡るであろう。外交官は当然のこととして、国民一人一人も尖閣の歴史を学び、一人でも多くの人に語っていく努力をしたいものである。手前味噌かもしれないが、私も中国在住という千載一遇のチャンスを生かし、知己を得た友人(中国人・日本人はもとより、それ以外の国の出身者も含む)に、拙い中国語と英語を使い勇気を持って日本の主張を述べ伝えている。ささやかかもしれないが、2010年・2012年の尖閣問題を経て、そうした日本人が一人でも増えることも、この長期に渡る「言論戦」には必要なのではないだろうか。
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