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2012-10-22 00:00
EUの対イラン経済制裁強化の波紋
水口 章
敬愛大学国際学部教授
10月11日、EUが対イラン経済制裁に新たな内容を追加することで合意した。正式には15日の外相会議での採決を待つことになるが、イラン産天然ガスの輸入禁止が折り込まれている。
このイランに対する経済圧力強化を前に、ワシントンの科学国際安全保障研究所(ISIS)は9日、イランが早ければ2~4カ月以内に核弾頭1発分の高濃縮ウラン(90%以上)を生産できるようになるとの報告を出した。また、6日には、イスラエル空軍機が撃墜した無人偵察機は、ヒズボラが送り込んだイラン製(イランにより製造され、レバノン国内で組み立てた)ものであることが判明した。
さらに、米国高官による「イラン政府がネットワーク・セキュリティ会社関係者を使って対米サイバー攻撃を仕掛けている」との発言も報じられている。中東地域ではシリア・トルコ関係の悪化、エジプトのカイロ(タハリール広場)での大統領支持者と反対派との衝突など、各地で不安定な状況が見られる。そして、イラン、シリア、ヒズボラによる反イスラエル軍事行動がどのように展開されるのか、目が離せない状況でもある。
現在、イランは通貨レートの急落による厳しい経済状況の中にあり、市民による非暴力の抵抗運動が発生している。その中でEUが経済制裁強化を実施することになる。このため、イラン政権は外部に市民の関心を逸らせようとして、何らかのリスクの高い行動に出ることが懸念される。当面、イスラエルとイラン両国の動向が注目される。
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