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2012-11-12 00:00
(連載)「戦後レジームの見直し」の意味を再考せよ(1)
河村 洋
外交評論家
野田政権がレイムダックの様相を増している現在、自民党の安倍晋三総裁が次期首相になる公算が高い。安倍氏と他の自民党政治家だけでなく、ナショナリスト最右翼の石原慎太郎氏とポピュリストの橋下徹氏に率いられる「第三極」においても、保守派の声は高まっている。そうした保守派の間ではかなり多くの政治家が「戦後レジームの見直し」を主張し、その多くがアメリカによる「押し付け」の民主化を公然と批判している。そうした発言によって、日本が戦前のナショナリズムに逆戻りしているかのような誤ったメッセージを国際社会に送っているのではないかと懸念される。
むしろ日本は戦後のレジーム・チェンジを肯定し、西側同盟の中での役割をより積極的に受け入れるべきだと思われる。ここで強調したいことは、小泉政権以降の自民党政権はアメリカ主導で行われたイラクとアフガニスタンのレジーム・チェンジを支持したが、それらはいずれも日本とドイツに倣ったものであった。中東の民主化を支持しながら、アメリカ主導の占領軍による戦後の改革を「押し付け」であるとして非難するのは、論理的に成り立たない。小泉純一郎氏以降の自民党の首相達は、テロとの戦いへの勝利、そして特にアル・カイダに代表されるテロ組織への核の拡散の阻止のために、そうしたレジーム・チェンジを支持した。
私は小泉政権以降の自民党首相達が米軍によるサダム・フセインとタリバン打倒を本気で支持したものと固く信じている。小泉氏の後継首相達は両戦争の開戦時に閣僚の座にあった。麻生太郎氏に至ってはブッシュ政権の方針と呼応するかのように「自由と繁栄の弧」の構想を打ち出した。オバマ政権はイラク、アフガニスタンからの撤退を決定したが、イラク戦争に反対したフランスもドイツも含めて、国際社会は、両国の復興と治安部隊の訓練への支援を模索している。日本はアフガニスタン復興支援国際会議を主催した実績もある。
であるとすれば、日本は、ここでアメリカによる占領統治に不満を述べるよりも、チベットや東トルキスタンをも含めた中東から中国に至る地域のレジーム・チェンジのロール・モデルとして行動すべきではないか。すなわち、日本の民主化の成功への道程を示し、この地域の諸国民にも自らと同様の道を歩むように呼びかけ説得してゆくのである。これによって国際舞台での日本の存在感は増すであろう。日本がイラクとアフガニスタンのレジーム・チェンジを支持したことに何も間違いはない。政治家達はこのことにもっと自信を持つべきである。(つづく)
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