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2012-11-20 00:00
(連載)政治の是正に憲法改正はいらない(1)
角田 勝彦
団体役員
12月16日の総選挙を目指して離合集散を含み各党の活動が活発化しているなか「決められない政治の是正(国難を克服できる新体制への移行)」を中心目的に、憲法改正論がかなり脚光を浴びている。票読みはまだ早いが、選挙結果として保守化が予想される関係から、物理的可能性も高まっている。しかし決められない政治の是正には憲法改正はいらない。国内問題にせよ武力行使を除く対外関係にせよ現行憲法は十分に対処できるのである。また憲法は日本国の最高法規に位置づけられ(98条)、下位規範である法令等によって改変することはできない。解釈改憲は論外である。認められる自衛の行動は広がってきたが「集団的自衛権」の容認は安全保障基本法案などでなく憲法改正によるほかないのである。
最近の世論調査によれば、12月16日の衆院選は自民、民主、日本維新(大阪市長橋下徹の日本維新の会に、前東京都知事石原慎太郎の太陽の党が合流)など第三極勢力が競り合う三つどもえの構図が鮮明になっている。自民党は比例投票先と政党支持率で「第1党」となったものの、党勢は伸び悩んでいる。9月8日閉会した第180通常国会で政府が新たに提出した法案の成立率は66・3%と、過去20年の通常国会で最低だった2010年の54・7%に次ぐ低い水準にとどまった。これが示すように、決められない政治が非難されている。その大きな原因として頻繁な首班の交代とねじれ国会があげられている。前者は外交にも悪影響がある。
しかし憲法改正(たとえば一院制や首相公選制へ)を持ち出す必要はない。国会に占める与党の議席数が多くなれば、この問題は解決する。2005年9月の小泉首相の郵政選挙で与党が480議席中327議席(自民党が296議席・公明党が31議席)と圧倒的勝利を収めた例がある。12月の衆院選でその再現は困難であろうが、党内の結束の確保と野党との協議・信頼関係の構築により、国会審議の円滑化はかなり可能である。かつて自民党時代には「事前審査」と党議拘束の制度があった。現在、民主党は党の公約に従うとする誓約書の提出を公認条件とする方針とされる。与野党間の一定の了解については、特例公債法案の修正案に「平成27年度までの間、特例公債発行を認める」旨明記された。
なお有識者集団日本アカデメイアは「『国会改革』憂国の決起宣言」(文藝春秋2012年十月号掲載)で各種提案(提言1.総理大臣、国務大臣に国のことを考え行動する時間的余裕を与える。提言2.決められない国会を動かす 提言3.官僚を夜間待機から解放する)を行っているが、憲法改正は求めていない。(つづく)
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