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2012-11-20 00:00
大学経営のあるべき姿について考える
金子 弘
日本学習社会学会会員
学校法人堀越学園(群馬県)に対して、文部科学省から大学解散命令が出されるとともに、田中真紀子文部科学大臣の3大学新設不認可発言も相俟って、これまで看過されて来た大学の不透明な経営実態について、国民の関心が高まったことは意義があるといえる。だが「大学教育の質の維持、向上」、「高等教育の国際競争力の強化」等を現実化するためには、大学の経営の安定性、透明性は重要なことであると考える。そこで、大学経営のあるべき姿について考えてみたい。大学の収入は、学生納付金、授業料等が主で、これに多くを頼っており、この他に学校債、寄附金等があるとされている。文部科学省から支出されている私立大学等経常費補助金、国立大学法人運営費交付金も、大学経営の重要な基盤的収入である。
しかし、日本私立学校振興・共済事業団の「平成24年度私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、平成24年度の入学定員充足率が100%未満となっている私立大学が、264校(45.8%)もあり、入学定員充足率や収容定員充足率が一定率を下回っている私立大学は、私立大学等経常費補助金が減額となっている場合もある。また、私立大学の大学院修士課程及び博士前期課程、専門職学位課程では、平成24年度の入学定員充足率は76.73%(前年度は85.66%)となっているとともに、大学院博士後期課程及び博士課程では、平成24年度の入学定員充足率は54.06%(前年度は54.09%)となっており、大学院は全体的な傾向として、入学定員と収容定員割れとなっていることが窺える。他方、資産運用における金融派生商品取引によって、多額の損失を抱えている私立大学もあるほか、18歳人口の減少も相俟って、大学の経営は厳しい状況にある。
こうしたことから、先ず、大学の経営の安定性、透明性を一般国民が広く知ることができるよう、例えばホームページ等で大学の経営に関する詳細な情報開示を行うことを義務付けることで、社会に対して説明責任を果たすようにすべきであると考える。大学の収容定員は、大学設置基準第18条で定められているが、私立大学等経常費補助金、国立大学法人運営費交付金によって教育研究の基盤となる経営経費を確保するためには、一定率以上の入学定員や収容定員割れとなっている私立大学では、入学定員と収容定員の削減を図り、入学定員充足率と収容定員充足率を適正に管理すべきである。
また、大学院についても大学同様に、入学定員と収容定員の削減を図り、入学定員充足率と収容定員充足率を適正に管理すべきである。さらに、18歳人口の減少に伴い、主に高等学校新規卒業者を大学に入学させるといったこれまでの考え方から、社会人も大学に入学させるといった生涯学習社会に即した考え方へと転換を図るべきであると考える。最後に、大学が自らの資産運用を行うのは自由ではあるが、大学には文部科学省から私立大学等経常費補助金、国立大学法人運営費交付金等の公費が支出されており、教育機関としての高い公共性、教育研究の継続性、安定性が求められていることから、金融派生商品取引等のようなリスクの高い運用は禁止し、堅実な資産運用を義務付けるべきであると考える。
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