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2012-11-21 00:00
(連載)政治の是正に憲法改正はいらない(2)
角田 勝彦
団体役員
さて9月21日付の米紙ワシントン・ポストは、沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国との対立などを背景に、日本が「緩やかだが、かなりの右傾化」を始めていると指摘し、周辺地域での行動は「第2次大戦後、最も対決的」になっていると1面で報じた。同紙は、日本の政治家が与野党問わず集団的自衛権の行使容認を主張するようになり、憲法改正論が高まっていると分析している。実際、最近、政権党たる民主党は別として、大小の政党や多くの団体が競うように憲法改正案を発表した。そのほとんどがわが国は「自衛権を保有する」旨謳っている(当然である)。
自民党の安倍晋三総裁は9月30日、京都府綾部市で講演し、憲法改正について「(改正発議に)反対と思っているような横柄な国会議員には、次の選挙で退場してもらいたい」と語り、次期衆院選で憲法改正を争点化する考えを示した。日本維新の会の石原代表も橋下代表代行も改憲派である。これに対し、野田首相は11月18日、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、日本外交をめぐる世論に関連し、「健全なナショナリズムは必要だが、極端にいくと排外主義になり、国を危うくする。いわゆる『右傾化競争』に参画するつもりはない」と述べた。なお民主党の細野豪志政調会長は10月19日、TVで、憲法解釈では禁止されている集団的自衛権の行使について「集団的自衛権自体を言葉として振り回すことにあまり意味を感じない」と解釈変更に消極的な姿勢を示すとともに、専守防衛に徹することを原則にする考えを示した。憲法改正についても「今の段階で緊急課題だとは考えていない」と述べた。
現憲法は明治憲法のようないわゆる不磨の大典ではない。民意により改正する道は開かれている。ただし、それを下位規範である法令等によって改変することはできない。自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議は4月12日、憲法解釈の変更により集団的自衛権行使を可能とする安全保障基本法案の概要を了承した。しかし党内にあった「解釈ではなく憲法改正で集団的自衛権行使を可能にすべきだ」との意見が正しいのである。法制局の従来の見解もあり、かかる法律は違憲の判断を招くだろう。
国難を克服できる新体制に移行する必要性が強調されている。フランスのドゴール主導の第四共和制から1958年の第五共和制への移行の例が想起される。しかし、それにはアルジェリア戦争が原因した。「自民党政権になったら円高、デフレ対策を全力でやる。それから領土で、3つ目は教育再生。そして東日本大震災の復興・・・」、菅義偉幹事長代行は11月18日のNHK番組でこう強調した。憲法改正で消耗する時期では無かろう。(おわり)
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