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2006-11-17 00:00
イラク問題の本質を冷静に分析すべきだ
田久保忠衛
杏林大学客員教授
先の米中間選挙で民主党は上下両院の過半数を占めたが、これをもってあたかも自分が勝ったように喜ぶ記事をつくった日本のマス・メディアは何と多かったことか。民主党のクリントン政権のときに議会の多数派は共和党だった。その形が入れ替わっただけだと冷静に観察できないものか。
民主党が勝った原因は、イラク問題の出口が見付からずに国民がいらいらしているところにもってきて10月の米兵死者数が突出してしまった、共和党有力議員のスキャンダルが飛び出した、昨年のカトリーナ台風災害への対応が拙劣でいまだに国民の間に不満がわだかまっている――などだろう。その中でもイラク問題が持つ意味は重い。そこで生まれる疑問は民主党にどのような代案があるかである。注意しなければいけないのは、(1)米国全体の保守化の傾向は変わっていない、(2)民主党の中でも少数派のリベラル代表で、下院議長に就任するナンシー・ペロシ下院議員も「ブッシュ弾劾」は求めないと公言し、「超党派的解決が必要」と言い始めている、(3)民主党員にもリーバーマン上院議員のようにブッシュ大統領と同じ考えの政治家がいる――の諸点だろう。責任を問われる立場に近づくと民主党も威勢のいい主張はできなくなる。
民主党の「ニューヨーク・タイムズ」紙や日本の新聞で救世主のようにもてはやされているのがベーカー元国務長官およびハミルトン前民主党下院議員を共同議長とする「イラク研究グループ」の提言である。ハミルトン氏を別にするとベーカー、ラムズフェルド国防長官の後任に指名されたゲイツ元CIA(米中央情報局)長官らブッシュ元大統領を中心とする古手のグループが多い。これらの人々、とくにベーカー、スコウクロフト元大統領補佐官、ゲイツ(当時は大統領副補佐官)らは1991年の湾岸戦争の際にサダム・フセインにとどめを刺す前にシュワルツコフ司令官に対して「打ちかたやめ」の命令を発した責任者グループではなかったか。「イラク研究グループ」に多くを期待してはいけない。
中東に民主主義の体制を築きたいという「ブッシュ・ドクトリン」がイラクで成功するかどうかは政権発足後「5ヶ月」で軽々に失敗と決めつけてしまっていいのであろうか。問題の本質はそっちのけでブッシュ大統領、チェイニー副大統領、ラムズフェルド長官らをたたきさえすえばこと足れりとする日本のジャーナリズムの風潮にはあえて異を唱えたい。
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