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2012-12-05 00:00
(連載)選挙公約に見る尖閣問題(2)
角田 勝彦
団体役員
中国の尖閣に関する諸主張に対しては、個別に反論するより、まず「中国は、国連憲章第2条4項にも明示された武力不行使規範を遵守すべきこと」を主張すべきである。国際紛争の対話による平和的解決の義務付けと表裏一体であるが、これこそが、日米安保条約第5条発動の根拠なのである。米国は論争において日中両国の一方を支援する立場は取らないことを明らかにしている。しかし、米国政府は「日本の行政権の及ぶ領域が侵略された場合は、日米安保条約5条の条約上の義務を持つこと」を確認しているのである。
さらに11月29日、米上院本会議は、尖閣諸島が日本防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象であることなどを明記した追加条項を、2013会計年度国防権限法案に盛り込むことを決めた。同様の立場を明確にしているオバマ政権と議会が足並みをそろえ、尖閣の領有権を主張する中国をけん制する狙いである。12月3日定例記者会見で、中国外務省の洪副報道局長は、米上院のこの修正案可決について、「断固として反対する」と述べた。洪氏は「米国は(尖閣問題で)一貫して特定の立場を取らないと表明してきた。米国には言行一致を期待する」と述べ、「米国が介入しないよう」強く求めた。中国にとりかなりの痛手であったことを示している。
中国の東シナ海及び南シナ海における拡張政策の基礎には、11月の第18回党大会で胡錦濤総書記(国家主席)が行った中央委員会報告(政治報告)で打ち出された「海洋権益を断固守り、海洋強国を建設する」との大戦略がある。中国は、尖閣問題に関し、日本は「戦後の世界秩序への挑戦」を行っており「反ファシズム戦争の成果が否定されてはならない」などと主張したが、中国こそ「戦後の世界秩序への挑戦」を始めているのである。中国の手法は、日本だけでなく、アジア、そして世界共通の懸念材料だ、との認識を国際社会に広げることが肝要である。とくに米国が肝心である。第2期オバマ政権が、これにどう対応していくかを、現在世界は関心を持って見ている。
もちろん尖閣については、中国は戦術を練っている。米国の対応から、武力行使は無理と見て、心理戦(宣伝戦を含む)が中心のようである。尖閣諸島の周辺では10月20日以降、中国当局の船が11月23日まで35日連続で航行していた。その後も断続的に出入りしている。なお新華社電によると、12月1日には、中国海軍の4隻の艦艇と艦載ヘリコプター1機が西太平洋で捜索救助訓練を行った。尖閣諸島周辺海域での日本の巡視船との衝突を想定したとみられる由である。孫子の兵法に「百戦百勝は善の善なるものにあらず、戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」とある。中国の挑発は、今後も続こう。我が国は強固な日米同盟に基づく尖閣諸島の実効支配の段階的強化と国際広報(とくに本件は武力不行使の規範が大国により脅かされている問題であることの指摘)により中国に対抗すべきである。(おわり)
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