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2012-12-18 00:00
維新と未来に“亀裂”の兆し
杉浦 正章
政治評論家
早くも第3極の内部矛盾が露呈し始めた。日本維新の会では代表・石原慎太郎と副代表・橋下徹の間で、首班指名の投票先をめぐる確執が表面化。本来なら党分裂に発展する重大事だが、何とか石原に投票することになった。橋下と石原の「双頭のおろち」が枝に引っかかって動けなくなる兆しであり、今後同党は橋下と石原が我執の摩擦を起こし続けるのは必至だ。加えて、石原がほぼ100%の確率で舌禍事件を起こす。日本未来の党も、代表・嘉田由紀子が党役員人事で小沢の押さえ込みにかかっているが、甘い。コップの中の嵐ならぬ、ぐい飲みとおちょこの中の嵐が吹き荒れている。ぐい飲みの嵐は、維新。橋下が「日本維新として安倍晋三自民党総裁に投票する」と発言したのには驚いた。自分の党の代表ではなく、他党党首に投票しようというのだから、国政への理解度が分かるが、背後に石原との相当な確執があることを物語っている。怒った石原はマスコミに向かって「政党のプライドというか、独自性から言って、論外だ。平沼さんが好ましい」と思ってもいない平沼赳夫の名前を挙げた。本来なら内々で調整するべき場面だが、マスコミに向かって発言するところがポピュリズム政党たるゆえんだ。結局石原の思惑通り自分への投票で決着がついたが、これをあえて維新の“崩壊の芽”と呼んでおこう。今後ことあるごとに、この種の摩擦が起きるのだ。
国会議員団も一枚岩ではない。東国原英夫が12月17日のテレビで石原について「顔なんか見たこともないし、今後も見ない」とこき下ろしたのだ。石原と東国原は知る人ぞ知る犬猿の仲。2007年の都知事選で石原が3選を果たした後、東国原がブログで「東京の傲慢が復活した」などと批判。石原は「田舎モンが東京のことをとやかく言うな!」と記者会見で怒りをあらわにした。両者の“けんか”は依然として続いていることを物語っている。こうしたあつれきの背景には選挙をめぐる確執がある。橋下は、石原の口車に乗って、太陽との合流をしたが、これが大失策であったことが選挙結果に如実に表れた。当初は200議席、選挙直前でも100議席と言われてきた維新だが、筆者が夏頃から「せいぜい50議席」と予言していたとおり、54議席にとどまったからだ。これははっきり言って、橋下が石原の人気を過信した結果だ。「関西は橋下」は一応成功したが、「関東は石原」が惨敗となって現われ、決定的に失敗したのだ。しかし、苦労して「関西」が獲得した54議席が、石原の“支配下”に置かれる図式では、何のことはない、橋下は石原に利用されただけとなる。
それも、目標であった自公の過半数阻止は実現せず、「維新旋風」にはほど遠い結果となったのだ。路線も復古調の石原ペースに傾斜してしまった。石原と組んだ自業自得がなせる業である。それでも、石原は「これからは第2極となる」と胸を張ったが、庇(ひさし)を借りて母屋を取るのがやっとで、第2極が実現するだろうか。まずしないと思う。なぜなら、るる述べてきたあつれきの構図に加えて、石原本人に根ざす欠陥が今後より一層表面化するからだ。それは老人特有のすぐ切ぶちれる短慮と、時代錯誤の極右国粋主義だ。こんご石原は憲法破棄、徴兵制実現、原爆所有などの発言をことあるごとに繰り返し、こらえ性なく記者会見でぶち切れるだろう。当然政治記者は甘くはない。ぶったたく。これが繰り返されて、維新の支持率はどんどん下がる。橋下が夏の参院選挙への出馬を狙っても、その頃は維新は息も絶え絶えではないか。橋下はその参院選出馬に関して、自治体の長との兼職を禁止している地方自治法の改正を唱えているが、これにもあきれた。1自治体の長の“都合”のために法改正が実現するとでも思っているのだろうか。すべては自分を中心に回す全体主義的な発想が止まらない。
自民党幹事長・石破茂は「知事や市長が権力を持ったまま、国会議員へ出馬となれば、当選するに決まっている。大阪で人気があるからと、調子に乗り過ぎと違うか。そう思うのは、私だけだろうか」とこき下ろした。宜(むべ)なるかなである。一方、おちょこの嵐は未来だ。読売の「編集手帳」が見事に嘉田の姿を描ききっている。「日本未来の党が嫌われた理由も分かる。嘉田由紀子代表は、名前といい、おっとり典雅な語り口といい、甘ったるい夢物語で聴衆の耳をくすぐる手法といい、“女・鳩山”とでも呼びたいくらい、由紀夫元首相にそっくりである。勝てる道理がない」と。その通りだ。まるで「鳩山山姥」(やまんば)の甘言のようで、気色が悪いのだ。その嘉田が、26日の国会までに未来の役員人事を「自分が責任を持って決める」と述べているが、基本は小沢一郎の押さえ込みにある。しかし、こちらも一知事が、衰えたりとはいえ政界の実力者への押さえ込みが利くと思っている方がおかしいのだ。61人が9人に減ったとはいえ、事実上の小沢支配が続かざるを得ないのだ。16日の小沢との会談も思わしくなかったようだ。滋賀県議会が党首と知事の兼務を問題視して、嘉田への辞職勧告決議案の検討に入ったが、もっともだ。むしろこの際、不信任案を可決した方がいいのではないか。
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