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2006-11-21 00:00
日中教育交流をさらに推進せよ
伊東道夫
会社員
10月30日に日本国際フォーラムから発表された第28政策提言「変容するアジアの中での対中関係」を政府はどのように捉え、理解を示すのか。また、実行へ移す行動力はあるのか、大変興味深い。この政策提言の意味を理解し、今後の対中関係を考えていく上で、現在の中国が抱える問題点も把握しておく必要がある。
1979年から改革開放に踏み切り去年までの26年間に、中国は年平均9.7%という驚異的な経済成長を続けてきた。ただ、これまでの成長は外資導入による輸出の拡大や固定資産投資の増大などに依存してきた。その結果、一部の富裕層を創り出し、政府・役所関係の腐敗を増大させた。また、投資により生産性の向上を図ってきたが、その副作用としてエネルギー消費効率や生産効率が低くなった。環境保全も徹底されないまま、環境汚染が深刻化し、各地で人体に及ぼす被害も出ている。環境汚染問題はさらに水供給不足、砂漠化、農作物などにも深刻な影響を与えつつあり、更には日本へも大気汚染の影響が出始めている。また、外資導入は沿海地区の都市部が主要対象地域であった為、内陸部特に農村地域との所得格差が拡大している。
上述の問題点への対策としては、所得格差の是正、消費の喚起と内需主導への転換、省エネや環境保全技術の導入・開発・普及などが急務である。これらの問題を考えていくときに、今回の日本国際フォーラムの政策提言が6番目に提起している「留学生や研究者を中心に日中教育交流をさらに推進せよ」という提言は、大変重要な意義があると考える。日本の高度成長期以降の経験も含めて、専門知識の取得、問題解決のための共同研究、人材交流などは、日中両国にとって有意義であるとともに、隣国として必要不可欠な協力関係である。今回の政策提言を機に、良い方向へ動き出す事を切に望んでいる。
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