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2012-12-30 00:00
(連載)平和と繁栄の宰相とならんことを(1)
角田 勝彦
団体役員
第96代首相になった安倍晋三氏は5年3カ月ぶりの再登板だが、首相再登板は吉田茂氏以来で、戦後2人目となる。吉田氏は、いろいろ毀誉褒貶があるが、非武装中立論を排する一方、朝鮮戦争のさなか大型再武装を求める米国(ダレス特使)の圧力に抗し、講和を実現しつつ日米安保条約(旧条約)を締結して、その後の日本の軽武装・経済大国への発展を可能にした。「国難」とか「危機突破」とかいわれているが、現在の内外情勢は米ソ対立の当時よりましである。また国民は3年余のアマチュア政治に辟易し、自民・公明両党に衆議院3分の2超325の望外の議席を与えた。
12月26日発足した第2次安倍内閣は、マスコミ各社の緊急世論調査でも約6割の支持を得ている。デフレ脱却を政権最大の目標に掲げた新政権の布陣に対する、国民の一定の評価がうかがえる。これまでの口先介入のみでも円高是正と株価上昇の効果を生じている。外交・安全保障については、日米関係を固め、価値観を共有する国との連携を強化するとともに、近隣諸国との関係では当面安全運転に徹する姿勢のようで、衝突の懸念は減少している。経済を中心とする国際環境に重大な変動がなければ、我が国がふたたび平和の中の繁栄に向かう可能性は残っている。安倍晋三氏が平和と繁栄の宰相とならんことを祈りたい。
新政権発足直後の12月26・27日、マスコミ各社が行った緊急全国世論調査による内閣支持率は、読売新聞65%、共同通信62・0%、朝日新聞59%という、まずまずの結果だった。影響力を持つ各派閥の領袖クラスが軒並み閣内に入ったため、官邸主導による「政高党低」の構図が鮮明となりそうである。とくに国民がもっとも重視している「景気・雇用」(デフレ脱却と円高是正を最優先課題とする経済政策)は、安倍総理と麻生太郎副総理が直轄する形となろう。年末年始の休みを返上して作業している10兆円規模の2012年度大型補正(13年2月成立を目指す)と13年度予算(5月成立を目指す。50日程度暫定予算でつなぐ)が、バラマキを避けつつデフレを脱却できるかの最初の試金石となる。
政権の「基本方針」は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして成長戦略を「三本の矢」として、デフレ・円高からの脱却を目指すこととされる。経済関係では、TPP交渉参加問題も重要である。石破幹事長は2013年7月の参院選までに結論を出すとしているが、反対は根強い。ねじれ解消を目指すためTPPで票を減らしたくないと逡巡する気持ちはわかるが、政権の鼎の軽重が問われている。衆院選では自民党に勝たせ過ぎたという国民のつぶやきもある。どうせねじれ解消は無理だろう、交渉はやってみなければわからない。交渉参加には踏み切るべきだろう。外交・安全保障問題では、新政権は近隣関係で安全運転に徹しつつ、かなり迅速な親米・価値観外交を展開している。2013年1月にも米国を訪問するほか、12月28日には安倍首相と英、露、豪、印、インドネシア、ベトナムの6か国の首脳との相次いでの電話会談があった。中国への圧力となろう。(つづく)
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