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2013-01-30 00:00
(連載)アベノミクスを考える(2)
角田 勝彦
団体役員
成長戦略については、政府は1月23日、産業競争力会議の初会合で日本経済再生に向けた同戦略とりまとめの議論を始めた。甘利明経済再生担当相は、23日の記者会見で「医療」「エネルギー」「次世代インフラの構築」「農林水産業の地域資源」の四つの重点分野で市場を育てる「新ターゲティングポリシー(戦略市場創造プラン)」を成長戦略の柱に据える方針を発表している。製造業の復活を目指す「産業再興プラン」と企業の海外進出を支援する「国際展開戦略」にも取り組み、規制緩和と新産業の創出を両輪に成長を加速させる考えも示した。さらに政府は、24日、規制改革会議の初会合を開き、安倍首相は「規制改革は安倍内閣の一丁目一番地で、成長戦略の一丁目一番地でもある。規制改革により、経済の成長、雇用を作っていく」と挨拶した。同会議では、将来の成長分野を対象とした規制緩和について議論し6月をめどに日本経済再生本部がまとめる新たな需要やビジネスチャンスを生み出すことを目的としている。
昨年暮れの安倍内閣発足以来、市場では円安、株高の動きが見られる。最近、円は1ドル91円、日経平均は1万1000円台を回復している。1月28日政府が臨時閣議で了解した2013年度の経済見通しは、GDPの成長率を物価変動を除いた実質で前年度比2・5%、物価の影響を含む名目で2・7%と予測した。名目が実質を上回るのは16年ぶりで消費者物価指数(総合)は前年度比0.5%上昇だった。デフレ脱却への前進を意味する。
2013年度の成長率を引き上げる主因は10.3兆円の緊急経済対策である。東日本大震災からの復興事業の予算枠が、1月27日、2015年度までの5年間で従来の19兆円から25兆円に引き上げられたことを含め財政負担増、国債への依存増が懸念されるが、2013年度予算案は一般会計92.6兆円、新規国債発行額は42兆8500億円で2012年度当初予算での発行額から約1.4兆円下回る。
アベノミクスについては海外でも「意図的に為替レートを下げていないか」とか「中央銀行の独立性をうすめていないか」とかの懸念が表明されている。たとえば米自動車業界は「円安を通じた近隣窮乏化策」と批判している。幸い、1月26日、甘利明経済再生相がダボス会議で行った演説は各国の理解を深めるのに役立ったようである。26日、甘利氏は、「IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事から『正しい選択』だと言われた」とラガルド氏との会談内容を記者団に紹介しながら、胸を張った。米国のウォール街で「日本見直し論」が高まっている由である。2008年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のクルーグマン教授からの「深く考えているわけではないだろうが、結果的には完全に正しい」との評価もある。このような基礎をもとに、とくに予算審議を通じ与野党の成長戦略への合意を形成していくことが望ましい。(おわり)
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