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2013-01-30 00:00
早期退職希望教員の問題を考える
金子 弘
日本学習社会学会会員
文部科学省の調査によると、退職手当が引き下げられる前に早期退職を希望している教員等が、4県で172人に上っている。これに対しては、人それぞれ賛否の意見があると思われる。そして、地方公共団体の職員の退職手当を引き下げる条例の施行に際して、行政の配慮不足があったことは問題であるといえる。しかし、教員が早期退職を希望した問題の本質は、教員の退職後の生活基盤が安定していないからではないかと考える。そこで、教員の処遇等について考えてみたい。
全国連合小学校長会の統計調査によると、平成23年度に教員の給与が減額されている都道府県は30にも上っている。また、退職時及び退職後の処遇として、「共済年金制度の維持・改善」(37都道府県)や「退職後の医療保険制度の改善」(29都道府県)について、強い要望がある。一方、年金制度については「年金制度の将来が見通せない」としたのが、39都道府県にも上っている。
こうしたことから、教員は60歳で定年退職した後の人生設計に不安を抱いているといえる。そして、退職後の再任用制度がある43都道府県においても、その任用期間は1年が最も多く(20都道府県)なっており、再任用後の生活を安定させるための基盤を整備する必要があるといえる。
したがって、退職手当が引き下げられる前に早期退職を希望している教員に対しては、一定の理解をすることができる一方で、教職に就く者としてその責任を問う必要性もまたあるといえる。いずれにしても、教員が教職の責任を定年退職まで、しっかりと果たすことができるようにするためには、退職後の生活を安定させるための基盤を整備することが重要であると考える。
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