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2013-02-05 00:00
集団的自衛権について
船田 元
元経済企画庁長官
民主党政権の末期の昨年夏以来、我が国固有の領土である尖閣諸島と竹島をめぐって、中国・韓国との緊張状態が続いている。こうした中、安部総理は集団的自衛権について、再度議論を起こそうと準備を進めている。集団的自衛権とは、自国が攻撃を受けていないにもかかわらず、同盟関係にある他国が、第三者から攻撃を受けたとき、自国が攻撃されたと見なして実力を行使する権利を指す。独立国であればすべての国に、個別自衛権とともに国際法上与えられた権利だが、我が国では現行憲法の解釈においては「必要最小限度の武力行使を越えることとなるので、認められない」としている。
ところが、国連PKO活動の常態化や、先ほど述べた日本周辺での緊張の高まりから、集団的自衛権についても、解釈の変更が必要ではないかとの議論が出てきた。前回の安倍総理在任中には、「安保法制懇談会」なる諮問機関を発足させ、一定の結論を出したが、早期退陣でオーソライズされなかった。その結論を簡単に説明すれば、以下の4つのケースで集団的自衛権を行使しても、憲法上許されるのではないかと言うことだ。
第一は、国連PKO活動などで自衛隊の宿営地の隣にいる他国軍隊が攻撃されたとき、駆けつけて応戦するケースである。これは「駆けつけ警護」と呼ばれる。第二は、海外での自衛隊の活動に使用できる武器の種類についてである。小銃や自動小銃を越えて、火力の強いバズーカ砲やロケット弾など、必要最小限度の武力を超える武器を使用するケースである。第三は、海上自衛隊の船と米海軍の船が並走しているとき、米海軍が攻撃にあったとき、自衛艦が応戦するケースである。第四は、第三国から発射されたミサイルが、同盟国のアメリカに向かっていることが判明したとき、日本の迎撃ミサイルで打ち落とそうとするケースである。
いずれのケースも集団的自衛権の入り口にあるような状況だが、この程度の限定的な実力行使であれば、憲法解釈の許容範囲に含めてもいいのではないだろうか。またそうすることによって、個別自衛権の行使をより十分にし、隊員の安全確保や国を守る活動の確実性を高めることにもつながるのではないか。しかし将来は、これらのケースでも、解釈によって合憲とするのではなく、改正された憲法そのものによって、認められることが肝要である。そのための議論を私たちは、憲法審査会などで、しっかり行っていかなければならない。
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