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2006-12-01 00:00
米国の核の傘は万全か
塚崎公義
久留米大学助教授
我が国は、日米安保条約によって米国の核の傘の下にはいり、自国の安全を確保してきた。今回の北朝鮮による核実験に際しても、この方針は日米両国によって再確認されている。では、米国の核の傘の下にいれば絶対に安全なのだろうか。
北朝鮮との関係では、核の傘はほとんど万全だと言えるであろう。北朝鮮が日本を攻撃すれば、米国が報復する可能性が非常に高いため、北朝鮮の攻撃はほとんど考えられないからである。「米国は本当に日本のために戦うのか」という疑問があるかもしれないが、筆者は「米国は日本のためではなく、他の同盟国の信頼を繋ぎ止めるために戦うのだ」と考える。日本は米国の「最も忠実な子分」の一人であるから、これを見殺しにするようでは、他の子分が離反してしまうからである。
「もしも日本が核攻撃で消滅したら、日米安保上の義務も消滅するのではないか」という議論に対しても、同様に答えることができる。仮に日本が消滅した場合に、米国が報復をしないということであれば、米国の敵国は米国の核の傘の抑止力を恐れないで米国の同盟国を攻撃するようになるであろう。そうなれば、米国の同盟国は米国の核の傘の下にいることのメリットを感じなくなり、離反していくからである。
したがって、北朝鮮の核武装への対応として日本も核武装をすべきだとは言い難い。もちろん、核の傘の下にいても、北朝鮮から攻撃される可能性は皆無ではない。たとえば北朝鮮内部が混乱状態となって誰も意図していなかった不測の事態が発生するかも知れない。しかし、その場合には日本が核武装をしていても結局防げないのだから、それをもって核武装論の根拠とすることは出来ないであろう。
では、核武装についての議論は一切不要かというと、北朝鮮とは別の次元の難しい問題がある。たとえば将来的には中国が強大化して米国と対峙し、米国の防衛ラインがハワイまで後退するといった可能性が考えられるが、その際に日本として如何に行動するかという点については、さまざまな議論が可能であろう。10月6日付けの私の投稿「『衰退国家』の長期的外交戦略はどうあるべきか」の続編として、大いに議論をしていただければ幸いである。
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