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2013-05-06 00:00
中東とアジアの間で米軍をとりあうのは不毛な争い
河東 哲夫
元外交官
この頃、オバマ第2期政権が「アジアに軸足」という第1期の外交政策を続けるかどうか、欧州、中東に大きな関心を持つケリー新国務長官を先頭に、中東和平、イラン問題第一という姿勢に戻ってしまうのではないかということが、識者の間で関心を呼んでいる。
オバマ政権は国内経済の回復を第一の課題とし、海外の武力紛争に関与するのを避けてきた。「アジアに軸足」というのも実は、イランの核開発で危機感を募らせるイスラエルを抑えるための口実であったのかもしれない。
そして今の状態は、有体に言ってしまえば、イスラエルとアジア(特に日本、韓国)が米国の主要な関心を求めて競っているのだ。イスラエルに言わせれば、アジアで中国が伸長しようが、アメリカが中国に投資、貿易ができればいいではないかということだろうし、アジアはアジアでイスラエルが抱える深刻な安全保障上の懸念を理解してはいない。国土の小さなイスラエルは、数発の原爆で壊滅する。イスラエル自身がいくら原爆を持っていても、それは抑止力にならないのだ。
もう少し何とかならないものか。中国がアジアで我が物顔にふるまうようになれば、アメリカの経済利権も冒されるようになるだろう。中東のバランスが崩れれば、中東からアジアへの原油・ガスの供給は不安定になる。だから中東とアジアは、どちらかが米軍を独占しようとする、ゼロサム関係であってはならない。アジア自身の防衛力も強化しつつ、米軍との協力のあり方を三者の間で時々調整していくべきではないか?言うや易く、行うは難しだが。
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