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2013-05-09 00:00
川口環境委員長は中国の外交術策に乗せられたのだ
山田 禎介
国際問題ジャーナリスト
参院は川口順子環境委員長の解任決議案を、野党の賛成多数で可決した。自民は川口女史の訪中一日延長は「国益にかなったもの」としているが、わたしはそうは思わない。今回の「要人との会見先延ばし」は、1970年代の米中国交正常化交渉でも、アメリカが最も警戒した中国外交術のイロハのイ。むしろ今回の川口女史の一件は、まぁ中国の軽いジャブ程度だが、その外交術策にはめられたものだ。結果的には自民が言う「日本の国益」も、逆に損じられたーー大げさだが、中国にコケにされたことになる。川口女史の滞在延長は、メディアの言う永田町世界だけを見た「野党の辞任要求は大人気ない」で済まされない問題。中国という”外交大国”とのお付き合いには、いっそう自戒をもって当るべきと、わたしは思う。
大手通信社は全国の加盟新聞社に毎日、「模範論説(社説)」を配信する。それを自社社説の参考にする新聞社もあるらしい。そのせいかどうかは分からないが、多くのメディアは、川口参院環境委員長の解任決議問題について、「国会は大人気ない、愚かなことをする」のオンパレードだった。だが、これは余りにおおらかな日本人のセンスではないか。むしろ、そのおおらかさも外国側からみれば、閣僚らの靖国参拝問題と表裏一体の「無神経な日本人のセンス」と、とられかねない。中国の外交行動にはこれまでの例でも、相手を見下した「外交非礼メソッド」がある。たとえば2005年5月に愛知万博視察のため来日した中国の呉儀女史(当時、国務院副総理)は小泉純一郎首相(当時)との会談の予定していたが、急きょキャンセル、帰国した。表向きは緊急の公務ということだった。中国版サッチャー「鉄の女」と周りに賞賛、尊敬されてきた呉儀女史には似合わない、極めて非礼な行動だった。会談直前の国会での小泉首相の靖国参拝に関する発言が原因と憶測されている。つい最近でも、北九州市で行われた日中韓3カ国の環境相会合で、中国は四川省大地震への対応を理由に、環境相ではなく次官の代理出席にとどめた。これも日本閣僚らの靖国参拝が遠因とみられている。
さて、川口女史への本旨だが、先月23、24両日の日程で、前外相の楊国務委員らとの会談は組まれていたはずだ。ところが到着後、楊氏とは25日でなければ会えないことが分かったという。これが中国お得意の外交術である。野党側多数の参院で「前代未聞の国会軽視」として解任された川口女史だが、おそらく野党側のホンネは、川口女史の稚拙行動に国益をコケにされたという怒りではないか。
自民党と川口女史は「国益がどうのこうの」と、未練がましく言うが、外交権もない、あくまで私的旅行。中国側のスケジュール変更には関知せず、私的旅行なら”気楽に”予定通り帰国すべきだった。中国要人の楊国務委員は、駐米大使館書記官、駐米大使を経た知米派。また川口女史もエール大留学、駐米公使、外相経験がある米国通。両者が知己なら、なおさらである。駐米公使時代の川口女史は、本邦新聞社特派員団にも受けのよい外交能吏であったというが、ホンモノの外交術は、別次元であることを、今回わたしは感じ取った次第である。
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