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2013-05-12 00:00
中国には国連安保理常任理事国の資格があるのか
松井 啓
大学講師(元大使)
最近の中国の言動は目に余るものがある。国内的には自由と民主主義を抑圧し、急速に経済発展をした自信がなせる技であろうが、対外的には行儀をわきまえない肥満児のような振る舞いを見るにつけ、はたして中国は国際の平和と安全の維持に最も重要な責任を負う、国連の安全保障理事会の常任理事国の資格があるのか、と疑問を呈したくなる。問題点は次の7点である。国際社会は中国に対して以下の7つの問いかけを行うことにより、中国にアジアの責任ある大国として国際の平和と安全に積極的に参画するように仕向ける必要がある。
1.1945年の国際連合設立時に安保理で常任理事国の議席を与えられたのは、中華民国であった。現在の常任理事国の座は、中国人民解放軍が1949年に武力で中華民国政府を台湾に追いやり、1971年に国連から中華民国を追放して入れ替わった結果である
2.日本の国連での分担金の比率は2000年の20.57%から減少し、13年には10.83%となったが、依然としてアメリカに次いで2位である。これに対し、中国は13年から増えたとはいえ5.148%である。
3.中国は、民主主義、言論の自由を抑圧している。1949年にはウィグルに侵攻し、更に1950年にはチベットに侵攻し、いずれも併合している。1952年の朝鮮戦争では、朝鮮民主主義人民共和国という独裁政権を軍事的に支援し、属国化した。非核化を目指す国際社会の同国に対する制裁については、非難を回避するためのジェスチャー的なことしかしていない。
4.中国は、国連安保理のもう一つの常任理事国ロシアとともに、中近東などの非人道的、非民主的政権に対する制裁に、非協力的である。
5.中国は、軍事力強化や海洋進出でアジアの平和を乱している。海洋権益拡大のため海軍を増強し、日本のみか、フィリピン、ベトナム、マレイシアとも紛争を起こし、尖閣諸島のみか、沖縄までもその領有権を主張し始め、更に太平洋はハワイを中間線としてアメリカと勢力圏を折半すべしとの主張も見られた。
6.中国の経済協力は少なく、偏っている。日本は2000年までの10年間はODA供与国としては世界第2位を維持していた。中国に対しては1979年から2007年まで円借款だけでも3兆472億円を供与した。中国も近年経済援助を始めたが、内政不干渉を建前として、資源目当てのものが多く、アメリカの研究機関によれば、アフリカ諸国にはこの10年間でアメリカに次いで750億ドルを供与した。
7.中国は、環境汚染対策等のグローバル・イシュウに対しては、未だに自国が開発途上国であることを隠れ蓑として、途上国寄りの立場をとり、国際貢献の負担を免れてきている。
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