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2013-05-22 00:00
(連載)外務省は「暗黙の了解」の存在を認めているに等しい(1)
桜井 宏之
軍事問題研究会代表
なぜ尖閣諸島領有権問題は、これ程までにこじれたのか?その我が国国内要因の1つが、中国に対して領有権の主張を怠った外務省の怠慢にあると言わざるを得ません。「権利の上に眠るものは保護に値せず」との古来からの法格言の通り、主張しない者に権利が認められることはありません。その観点からすると、外務省が中国に対して領有権の主張を行わなかった事実は、「暗黙の了解」の存在を国際社会に疑わせるに十分であると思われます。
外務省は「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり,現に我が国はこれを有効に支配しています。したがって,尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません」(「尖閣諸島に関するQ&A」http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/qa_1010.html)と主張しています。しかし既に尖閣諸島周辺の領海に中国公船が近づいた際には、海上保安庁巡視船が領海内で操業している日本漁船に対して退避を勧告しており、もはや「有効に支配」しているとは言い難い状態です。
また過去にも我が国による「有効な支配」が揺らいだ瞬間がありました。それは、日中平和友好条約締結交渉が進行中の1978年4月のことです。100隻以上の中国漁船が尖閣諸島周辺に突如結集し、その周辺海域(領海)への侵入を繰り返したのでした。漁船とはいっても、一部には船首楼に機銃を装備した船や自動小銃を手にした乗組員までいたことから、その目的が漁ではなかったことは明白でした。
筆者は以前、情報公開請求で外務省から『日中平和友好条約に関する擬問擬答集』(昭和53年9月28日)という部内資料の開示を受けたことがあります。『擬問擬答集』は、同条約に関する対外想定問答集で、同条約の解釈、日米安保条約との関連、尖閣諸島問題について、外務省の見解をとりまとめたものです。『擬問擬答集』を通読すると、日中平和友好条約締結交渉において尖閣諸島の領有権の確認を外務省が徹底して避けていた事実が浮かび上がります。外務省は、この問題について確認を避けるという不作為を作為的に行ったと言っても良い程です。(つづく)
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