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2013-05-29 00:00
(連載)集団的自衛権問題は改憲なしに解決可能(1)
桜井 宏之
軍事問題研究会代表
本欄への投稿を拝読しておりますと、集団的自衛権の問題に関していくつかの誤解があるのではないとかと思いまして、投稿する次第です。今後の議論の参考になれば幸いです。まず最初の誤解は「集団的自衛権の行使を実現するためには改憲するしかない」という誤解です。集団的自衛権行使を実現するためには、政府が従来の政府見解を改め、現行憲法でも集団的自衛権の行使は認められると解釈を変更すれば済みます。憲法を改正する必要はありません。しかしながら、政府の憲法解釈を実質的に司る内閣法制局が、集団的自衛権の行使を容認する見込みが殆どないため、今日においては、憲法の条文そのものを変えるしかないという主張が大勢を占めるに至ったわけです。
実は、集団的自衛権に関しては、防衛研究所の部内報告書「憲法に係る政府解釈の変更に関する研究」(平成23年度基礎研究成果報告書)が「集団的自衛権行使を容認する国会決議」の可能性に言及しています。報告書は、集団的自衛権行使容認に関して内閣法制局が「時の内閣総理大臣が政府解釈是正の意向を有していても、その説得に応ずる気配はなく」、内閣の主導による政府解釈の変更は困難であるとして、「集団的自衛権の行使に関する政党間協議により多数派の合意を形成して、現在の憲法は集団的自衛権の行使を禁止するものではないとの確認の決議を行い、それに基づいて『安全保障基本法』を制定し、わが国が行使できる集団的自衛権の態様を定める」ことを提唱しています。
政府は従来から、国会決議は政府に対して法的な拘束力を有するものではないとの立場を取っていますが、国権の最高機関である国会の意思の表明として示された国会決議については、その趣旨を十分尊重して行政を遂行するとの態度を表明しています。従って、政府は従来の憲法解釈を変更することなく、集団的自衛権の行使が可能となります。
このことは、集団的自衛権容認に慎重な公明党と連立を組む安倍政権にとって誠に都合の良い話でしょう。政府としては従来の憲法解釈を変更しないのですから、公明党のメンツを潰すことなく、集団的自衛権行使に舵を切れます。またこれは、公明党にとっても悪くない話です。「政府解釈が変更されたわけでない」との言い訳の下に、安倍内閣が集団的自衛権行使を容認しても、連立政権に踏みとどまれるからです。(つづく)
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