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2013-06-17 00:00
(連載)米中首脳会談と尖閣問題(2)
角田 勝彦
団体役員
会談後、米政府は複数の外交ルートで日本側に会談内容を伝えてきた。菅義偉官房長官は6月10日の記者会見で、尖閣をめぐる米中のやりとりについて「米側はわが国の立場を踏まえながら対応している」と述べた。安倍晋三首相へのオバマ大統領からの直接の説明は17、18両日に英国で開かれる主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)の際に行われる予定の日米首脳会談が想定されていたが、米国の要請で13日には電話で説明があった。菅官房長官は「同盟国の日本への配慮だ」と述べた。安倍首相は13日の電話会談で感謝の意を表した。
習主席にとっては国家主席就任から3カ月足らずでの訪米で、胡錦濤前主席の初訪米が就任2年半後だったことと比較しても、異例の早さである。米国重視の姿勢を示すといえよう。米カリフォルニア州パームスプリングズ近郊で、2日間8時間の会談を行ったことで両首脳の個人的理解も深まったことであろう。オバマの表明した決意を軽く見ることはあるまい。さらに米上院外交委の超党派3議員は13日までに、中国が東シナ海や南シナ海で繰り返す威圧的な行動が周辺地域の「緊張を高めている」と非難し、対話による平和的な領有権問題の解決を促す決議案を提出した。決議案では、軍事挑発の具体例として、今年1月に発生した中国海軍艦艇による海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射や、4月の中国公船(海洋監視船)8隻による尖閣諸島の周辺領海への侵入を例示している。上院は2011年にも南シナ海問題で、中国非難決議を全会一致で採択しており、今回も可決される可能性が高い。
厳しいオバマ発言に対し 習主席は「関係各国が責任ある態度をとって、挑発をやめ、対話を通じて問題を解決する路線に戻ることを望む」と述べた。8日の会談終了後記者会見した中国の楊国務委員によると、習主席は東・南シナ海の領有権問題を協議した際「国家主権と領土の統一を断固として守る」との立場を説明した。また「関係各国が挑発ともめ事を起こすことをやめ対話を通じて問題を解決することを望む」と主張し、尖閣問題では、日本が領有権争いの存在を認めるのが先決との認識を示した。
中国は、日本のみならず、その同盟国米国からの厳しい反応を見て自国の領有権の主張を、武力の威嚇を含め押し通すのには無理があると認識し、日本に領有権争いの存在を認めさせる棚上げ論に戻ったのかも知れない(5月31日~6月2日にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議における威建国人民解放軍副総参謀長発言)。しかし、従来と同じかも知れない。その後も6月15日には尖閣諸島沖の接続水域内を中国の海洋監視船「海監」3隻が航行している。偶発的武力衝突を避けるためにも、我が国は、海上保安庁強化を含む離島防衛能力の強化や離島奪還訓練などの地道な努力を続けるとともに、6月末からブルネイで開かれるASEAN関連外相会合などでの中国の出方を見守るべきであろう。(おわり)
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