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2013-07-09 00:00
安倍は原子力規制委の人員を増やし効率を上げよ
杉浦 正章
政治評論家
原子力規制委の新規制基準の施行を受け、4電力会社が計5原発10基の再稼働に向けた安全審査を申請した。いずれも基準合致が有力視される原発ばかりであり、半年後には第1号の再稼働が実現しよう。福島事故以来2年4か月、反原発運動に阻害されたエネルギー萎縮の風潮を乗り越え、安全配慮の再稼働によるエネルギーミックス時代の幕開けとなる。参院選に不利になるにもかかわらず、首相・安倍晋三も幹事長・石破茂もあえて早期再稼働実現を明言しており、選挙結果がすべてを決着させることになる。しかし、規制委の審査方針は逼迫した電力事情を考慮に入れておらず、余りにも遅遅たるものがある。安倍は第三者委員会の性格上審査に一切の関与をすべきではないが、特例措置で支援の専門家の人数を増やし、早期再稼働にこぎ着けるべきである。なぜ遅遅たるものかと言えば、1原発の審査に何と半年もかけるのである。80人体制で3チームに分けて審査するから3原発が稼働するのに半年かかる。全原発をクリアするのには8年3か月もかかる計算になる。専門家によると、規制委の基準をクリヤ出来そうな原発は50基のうちの3分の2はあるという。33基前後の原発が再稼働可能となる計算だ。規制委は伊方と玄海の両原発審査を先行させる方針とみられ、トップ合格が最有力視される。規制委はできる限り効率第一を心がけるべきだ。電力会社も規制委も既に大まかな取捨選択の判断は出来る状況と思う。従って廃炉になりそうな原発は全部後回しにして、クリア出来そうなものから審査にかけるべきことなどは言うまでもない。
それにしても審査に時間がかかりすぎる。経団連会長・米倉弘昌は「もう少し人数を拡充するなど安全審査を行う仕組みが大切」と述べている。自民党幹部筋も「サボタージュではないか」とまで批判している。年間にアラブなどに流出する国富は4兆円に達しており、電気料金値上げで中小企業や国民はあえいでいる。ここは何としてでも審査の効率化を図るために、専門家を動員する態勢を国が作るべき時ではないか。これに対して規制委委員長・田中俊一は増員に応じない方針だという。専門性の高い審査を出来る職員が限られていることがその理由のようだ。しかし、専門家は鉦(かね)と太鼓で集めればいくらでもいる。田中は「審査の中で魂が入るかどうかで真価が問われる」と述べているが、規制委の遅延で国のエネルギーが破たんしては、それこそ「仏作って魂入れず」ではないか。安倍は知恵を絞って専門家をかき集めて規制委に投入すべきだ。年間4兆円の国富流出を思えば、人件費などは安いものだ。
一方、規制委の厳正なる科学的な判断とは別に、最終的には政治家の判断と、法的には求められていないが自治体の長の判断が必要となる。産経新聞は、安倍と官房長官・菅義偉が7月8日の街頭演説で原発再稼働に触れなかったことを取り上げ、「争点隠し」と批判している。これは産経にしては珍しい誤判断だ。安倍はテレビでは再稼働を明言しているではないか。NHKでも「再稼働に向けて政府は一丸となって対応し、出来るだけ早期に実現したい」と言い切った。石破も「日本の経済に責任を持とうと思えば安全、安心が確認された原発の再稼働は避けて通れない。我々はそこから逃げることはない」と述べた。これは昨年の選挙前の発言と同じであり、一貫して安倍政権が姿勢を変えていないことを意味する。おりから8日付日経の参院選序盤ツイッター分析では、「原発問題」が公示前の1日数千件が公示後は1万件前後に増加して、各種の政策論議のトップに立った。筆者が予想したとおり、選挙の最先鋭の争点は原発だ。それにもかかわらず総選挙と同じで自民党が敗れる流れは生じていない。原発反対派のマスコミも政党も再び原発政策で敗れることになる。
総選挙の際もそうだったが、自治体の長がパフォーマンスで反原発を唱えてしゃしゃり出るケースが多い。政党まで作ってつぶれた滋賀県知事・嘉田由紀子がいい例だが、今回は新潟県知事・泉田裕彦だ。なぜパフォーマンスかと言えば、東電社長・広瀬直己とのやりとりをテレビを入れて公開した。その中で泉田は「年内の黒字を意識した申請か」と尋ね、広瀬が「意識している」と答えると、「不安を解消するよりも、お金を意識したのですね」と勝ちほこったように問い詰めた。テレビ向けにはめたのだ。民放テレビは喜んで報道しても、心ある有識者は嫌らしいと看破したのではないか。泉田に関して元産業省官僚の古賀茂明が、面白い情報をロイターに漏らしている。通産省の後輩である泉田に対して「包囲網が形成されている」というのだ。「泉田裕彦は経産省で出来が悪くて、知事に転出した。省内で出世できなかったことを根に持って抵抗している、というストーリーを経産省がこの1年間、ずっと流している」と述べている。さもありなんである。泉田はなんと規制委の新規制基準にまで反対している。要するにに、経産省絡みのものは皆反対なのである。江戸の敵を長崎で討つという大局欠如の偏狭さだ。知事は反対でも、地元の市町村長は賛成派が圧倒的だ。2015年の任期切れで4選を目指そうという姿勢がありありだが、市町村長が怒っており、本当に包囲網が形成されれば選挙は危うい。
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