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2013-07-23 00:00
(連載)慎重なアジア外交と安全保障力の強化を(2)
鍋嶋 敬三
評論家
尖閣諸島のある東シナ海やフィリピン、ベトナムと係争中の南シナ海など海洋安全保障は米国にとってアジア太平洋地域の再均衡(リバランス)の中心課題である。上院外交委員会の指名承認公聴会(6月20日)で証言したラッセル次期国務次官補(東アジア・太平洋担当)によれば、東シナ海、南シナ海の紛争は「米国の国益に直結」し、「米中関係に影響する」重大な問題である。日本やフィリピンなど同盟国を米国が支持していることをオバマ大統領はじめ政権トップが中国側に「直接的に」伝えており、米国が中国の振る舞いに「深甚な関心」をもっていることを明らかにした。
アジア太平洋地域の安全保障環境は日米中の相互関係の中で動く。米国は日本の同盟国とはいえ、「尖閣」を巡る日中間の衝突に巻き込まれるのは「悪夢」である。日本か中国のどちらをとるのか、二者択一は避けなければならない。米国にとって中国との協調という価値よりも、日本との同盟の価値の方が大きいことを常に認識させておくことが日米同盟を基軸とする日本の外交戦略の大前提である。
しかし、1945年以降の「占領ぼけ」のせいか、国民全般に米国は外国の侵略から自動的に日本を守ってくれるものだと当然視、もしくは錯覚している節がある。同盟関係の基礎は「国を自らが守る」強い意志に基づいた国防力の整備である。しかし、日本国憲法には国を守る義務の明文規定がない。あるのは教育、勤労、納税の義務だけだ。これは国家としてあるべき姿ではないが、憲法改正の前にやるべきこと、やれることは山ほどある。中国政府の公船による領海、領空侵犯、中国軍艦から自衛艦に対する火器管制レーダー照射などは日本の防衛体制の欠陥を中国に侮られている表れである。
2014年度防衛費の増額、領海警備の法整備、島しょ防衛など自衛力の強化をはじめ、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の早期改定、集団的自衛権の行使を認めるための政府解釈の変更など早急に手を打つべきである。それが米国による拡大抑止の実効性を高める。中国の挑発を抑止し、米国を巻き込まないようにする体制作りが国民から信託を受けた安倍首相の喫緊の課題である。(おわり)
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