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2013-07-31 00:00
(連載)東郷・パノフ共同論文に重大な問題あり(1)
袴田 茂樹
「対露政策を考える会」座長
7月18日付けのロシア紙『独立新聞』に、東郷和彦元外務省欧亜局長とアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使の共同論文が掲載され、反響を呼んでいる。7月20日付けの本欄「百花斉放」にも、コメントが寄せられている。しかしながら、この共同論文には重大な問題があると思うので、その点を以下に指摘したい。日露の交渉史に関して事実と大きく異なる誤認がこの共同提言の前提となっているからである。
共同論文では、2001年の両国のイルクーツク合意が、日ソ共同宣言のみを基に提案されているように述べられているが、実際には森喜朗首相とプーチン大統領が署名したこの合意では、日本側もロシア側も日ソ共同宣言と東京宣言を次のように共に認めている。すなわち、「(両国は)1956年の日ソ共同宣言が平和条約締結に関する交渉プロセスの出立点を設定した基本的な文書であることを確認した。その上で、1993年の東京宣言に基づき、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題を解決することにより、平和条約を締結し、もって両国の関係を完全に正常化するため、今後の交渉を促進することを確認した」と。
つまり、「東京宣言に基づいて四島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」というのがイルクーツク合意における日露の共通認識なのだが、この共同論文はそのことを完全に無視している。今日の日露平和条約交渉で最大のネックとなっているのは、ロシア側(そしてそれに迎合した日本の一部の政治家、専門家、元外務官僚)が東京宣言を事実上無視し、歯舞、色丹だけでなく、国後、択捉を含めた四島の帰属問題を交渉しようとしないことにある。最近のわが国のマスコミも、1956年宣言にのみ触れて、東京宣言には触れようとしない。
東京宣言の「四島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」という両国合意の、そして日本政府が平和条約交渉の基本方針としている立場は、「四島の日本への帰属問題」ではなく、ニュートラルな表現である。したがって日本の立場が「四島が日本に帰属するこという立場は変えることなく、返還の時期と様態についてのみ譲歩できる」というのは、誤りである。(つづく)
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