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2013-08-02 00:00
(連載)国を守る対外政策(2)
角田 勝彦
団体役員
北朝鮮の核・弾道ミサイル開発関連では、敵国基地攻撃能力の保有について明言せず、「抑止力の強化をあらためて検討し、総合的な対応能力を充実させる」との表現に止めた。防衛費は2年連続増額となろう。25年度の防衛費は4兆7538億円で24年度から0.8%の増となったが、防衛省は26年度では4%増と大幅な上積みを図っている。ただし軍拡は日本のみではない。中国は国防費の25年連続2桁増を続け、韓国も2014年から18年の国防中期計画で予算の年7%増を計っている。なお政府は、7月30日、外交・安全保障政策の司令塔となる日本版「国家安全保障会議(NSC)」を創設するための関連法案を秋の臨時国会で成立させ、年内にも発足させる方針を固めた。
米国のわが国への支援は明確化している。米上院は7月29日、尖閣諸島を巡る日中対立や南シナ海の領有権問題を巡り、中国を念頭に、「現状変更のために軍事力や強制力を用いることを非難する」との決議を全会一致で採択した。米政府は、オバマ大統領が、日米同盟をアジア太平洋戦略の要と位置づけ安倍首相と連携強化を確認するため、2014年春にも日本を公式訪問する方向で調整に入ったとの報道もある。米カリフォルニア州のグレンデール市内の公園で、7月30日、「慰安婦」像の除幕式が行われたような残念な事件はあるが、大勢には変わりない。
政権の安定化もあって、このように順風が吹いている中、安倍首相は中国及び韓国との首脳会談を呼びかけている。さらに、飯島勲内閣官房参与の訪中はともかく、7月29日から30日にかけ外務省の斎木昭隆次官を訪中させて打開の道を探っている。中国・韓国とも、そろそろ敵視のみでない対日新政策を検討しているだろう。現在、留意すべきは、強気のあまり偶発的「不測の事態」を引き起こさないようにすることと右翼路線まっしぐらとの誤解を招きかねない軽率な言動を慎むべきことである。幸い安倍首相は問題を起こさないよう自制に務めているようである。例えば、8月15日の終戦記念日に靖国神社を参拝しない意向を固めたと報じられている。また自民党の石破幹事長は、7月26日、集団的自衛権の行使を認める国家安全保障基本法案について、国会提出を公明党の理解なしに秋(の臨時国会)に行うことはなく、来年の通常国会以降になるとの見通しを示した。
要するに中国及び韓国は安倍内閣の動きを注視している。あわよくば自国の主張に役立てようとつけいる隙を狙っている。7月29日のナチス憲法に触れた麻生副総理発言は「沈黙は金」の正しさを感じさせる。ここしばらくが大切である。閣僚を含め安倍政権は、誤解を生じないよう、しばらく慎重を旨とすべきだろう。(おわり)
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