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2013-08-13 00:00
(連載)集団的自衛権行使に「自国と密接な関係」は不要(2)
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
次に、「自国が直接攻撃されていないにも関わらず」も、一見正しそうで、必ずしもそうではない。確かに、自国が直接攻撃されていれば、それは個別的自衛権の問題となるが、自国と他国が攻撃されていて、その国との間で相互支援、あるいは一方的支援をすれば、それも集団的自衛権の範疇に入るという説が有力である。入っていてもあまり害のない文言ではあるが、正確を期するには、やはり削除する方が適切であろう。
そして、「実力をもって阻止する」というのも不正確である。実力をもって阻止するのみならず、いわゆる後方支援でも、集団的自衛権を行使したことになる。日本政府自身、1960年3月31日の予算委員会で、当時の岸信介首相が、「集団的自衛権という内容が最も典型的なものは、他国に行ってこれをまもるということでございますけれども、それに尽きるものではない」と述べたことがある。さらに、時の法制局長官は、基地の貸与や経済的な援助を集団的自衛権行使の例として挙げ、憲法の認めるものである旨述べている。
「実力をもって阻止する」のが集団的自衛権で、戦闘と一体化しない後方支援(そのようなものがあり得るかどうかはここでは措く)は集団的自衛権に当たらない、などという珍説は、日本国内でしか通用しない議論であり、例えば、周辺事態法に基づいて後方支援をすることを、日本は戦闘と関係ないと考えるが、他国は集団的自衛権の行使と看做すという齟齬が生じ得る。それは危険なことである。日本政府の定義から抜け落ちている要素もある。ニカラグア事件判決にもある、被攻撃国の来援要請である。同盟は、来援要請とそれへの応諾を、あらかじめ条約で約束しておくということである。
以上を踏まえれば、集団的自衛権の適切な定義は、次のようになるはずである。すなわち、集団的自衛権とは、他国への武力攻撃に際し、被攻撃国の求めに応じ、あるいは、そのような約定に基づき、これを支援する権利である。権利を行使するというからには、行使する権利の内容は正しく定義されていなければならない。まず、集団的自衛権の定義を正すべきである。(おわり)
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