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2013-08-16 00:00
(連載)広島、長崎の平和宣言について思う(3)
角田 勝彦
団体役員
宣言より実効性である。日本が2012年国連総会に提出した核軍縮決議案は、米国並びに16年ぶりの英国を含む、史上最多の99か国を共同提案国として、12月2日賛成174、反対1(北朝鮮)、棄権13(中国、インド、イスラエル、イラン、パキスタンを含む)と圧倒的な賛成多数で採択されている。この決議は、2010年5月のNPT運用検討会議における合意事項の着実な実施のために国際社会による一致した行動が必要であることを確認し、「核兵器のない世界」の実現に向けた国際的機運を更に高めることに貢献する内容となっている。
次にインドとの原子力協定交渉の再開問題である。1998年、インドは24年ぶり2度目の核実験を実施した。続いて、パキスタンも核実験を行い、2006年10月には、北朝鮮が核実験を強行した。インドがNPTや包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名していないまま、98年に核兵器の保有を宣言したことは、国際社会の大きな反発を招き、国連安保理の制裁や各国から経済制裁を受けることになった。インドは原子力供給国グループ(NSG)にも加盟しておらず、核燃料や機器などを輸入する道も事実上閉ざされていた。
しかし、原子力の巨大市場となることが確実視される同国に対し、米国は2006年民生用核開発分野で協力することで基本合意し、08年原子力協定を結んだ。続いて仏やロシアも協定を締結し原発の売り込みを狙った。原子力協定は、核物質や原子力関連の機材、技術などを「平和利用」を前提に相手国へ移転するための法的枠組みで、技術協力や核不拡散措置などを定めるものである。米、仏両国政府は、日本メーカーと資本、技術提携している米、仏企業がインドで原発を建設する際、日本の技術や機器を用いられないと懸念し、2010年、日本政府に対し、インドとの原子力協定締結を非公式に求めてきた。岡田克也外相は、6月25日の会見で、協定締結に向けた交渉の開始を表明した。そして福島第一原発の事故で中断したものの、2013年5月に交渉再開が発表されたのである。
米仏露は、いわばNPTの責任者である。それが日本よりさきにインドとの原子力協定を締結しているのである。インドと協定を締結することでのNPT体制の形骸化を日本が懸念するのは、いわば「法王よりカトリック的」だろう。核兵器廃絶は遠い夢である。しかしオバマ米大統領も分かち持つ崇高な理想である。思いが拡散して、人々の対応が割れるとしたら悲しいことではないだろうか。(おわり)
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