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2013-08-30 00:00
(連載)地球温暖化対策の中で、原発を見直せ(1)
角田 勝彦
団体役員
猛暑に加え水害など自然災害が目立った夏だった。そのためか、2011年の原発事故以来舞台裏に追いやられていた感がある地球温暖化問題がまた脚光を浴びている。いまの焦点は、温室効果ガスの「2020年までに1990年比で25%削減」の国際公約に代わる日本の新目標策定が、11月の国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)までに間に合わないかも知れないことであるが、根元には年内をめどに見直す予定のエネルギー基本計画をどうするか、とくに原発をどう活用するか(原発比率)の問題がある。原発は、経済のみならず地球温暖化の問題なのである。
工業化でCO2排出が増え始めた産業革命の前と比べ、世界の平均気温が2度以上高くなると、大規模な水不足や生態系破壊など地球温暖化の被害が深刻になるが、2040年代にもこの境目を越える危険があると言われる。2010年に策定された現行のエネルギー基本計画は「25%削減」を視野に、原発を14基も増やす内容だった。原発事故の後に管内閣がこの計画見直しに着手し、野田内閣は2012年9月決定した「革新的エネルギー・環境戦略」で「2030年代の原子力発電稼働ゼロ」を打ち出していたが、2012年12月に政権交代した安倍内閣はこれを白紙撤回し、安全が確認された原発の再稼働を認めた。年内に纏められる予定の新たなエネルギー基本計画には原発を重要な電源として今後も活用することが明記される見込みである。再生可能エネルギーでは不十分な以上、原発の活用はやむを得ないだろう。
なお温暖化行動計画への主導的地位を保持するためにも新目標の早急な提出が望ましい。わが国は大きな犠牲を払って京都議定書を纏めた経緯がある。早々に京都議定書から脱退した米国や途上国であるとして削減義務を免れている中国が、温暖化行動計画で「世界を主導」すると大口をたたくのに譲る必要は無かろう。
この夏はとにかく暑かった。8月11日、東京都心で最低気温が30.4度にしか下がらなかったのは、過去138年間の新記録で、気温が高かったとされる平安時代以来の「千年猛暑」到来という人もいる。温暖化には利点もある。例えば北極海で海氷が縮小している。アジアと欧州を結ぶ定期航路ができれば、日本にとっても、欧州との航行距離がスエズ運河経由より約4割縮まるという。北極海の資源を狙っている国もある。しかし、水不足とか、水害多発とか、海面上昇とか、生態系破壊とか、紛争多発とかと、悪影響の予測の方が多い。(つづく)
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