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2013-09-14 00:00
(連載)国際法上、人道的介入の武力行使は可能か(1)
角田 勝彦
団体役員
シリア情勢が世界の関心を集めている。本欄でも水口章教授(シリア問題と外交政策立案)及び河野勝教授(シリア情勢についての雑考)による興味深い論考があった。オバマ米大統領が9月10日の国民向け演説で、当面は外交的な努力を優先する考えを表明したことから、シリアへの軍事介入はとりあえず見送られたが、シリアが12日に化学兵器禁止条約に加盟する方針を示したとはいえ、化学兵器廃棄の手順決定や国連安保理決議案づくりの基礎となる12~13日の米ロ外相会談がめでたし、めでたし、と行かなかったことが示すように、問題は解決したわけではない。オバマ政権は外交努力が失敗した場合には武力行使が必要だとし、シリア攻撃態勢を維持している。
国際法の最近の検討課題に人道的介入(「保護する責任」ともいわれる)の是非がある。オバマ米大統領は、8月21日、アサド政権による化学兵器使用を人道的介入としての武力行使の理由としたが、プーチン・ロシア大統領は、10月11日の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)への寄稿で、国連安保理の承認を得ないで米国がシリアに対する軍事行動を起こすのは、国連憲章で許されない国際法違反であり、「侵略」だと主張した。本論では、シリア情勢をこの観点から論評したい。
まず経緯である。2011年からのシリア内戦では、犠牲者がすでに11万人を超え、人口の1割に当たる200万人が難民と化しているとされる泥沼状態が続いているが、2012年11月反体制派が結成した「シリア国民連合」はロ・中を除く、欧米やアラブ諸国など100カ国以上により「シリアの唯一正統な代表」として承認されている。アサド政権は退陣を拒否し反体制派への制圧軍事行動を続けている。双方が参加する国際会議構想は宙に浮いたままであったが、最近の米ロ外相会談で開始される見込みが出てきた。
シリア情勢が大きく動いたのは、8月21日、首都ダマスカス近郊グータなど数カ所で化学兵器が使われ、1400人以上が死亡した疑いが持たれてからである。反体制派はアサド政権による攻撃だと指摘し、政権側は否定した。国連安保理は21日、緊急会合を開き、各国は強い懸念を示した。また、いかなる化学兵器使用も国際法違反となるとの意見で一致した。核・生物兵器と並ぶ大量破壊兵器であるのみならず、拡散が容易であることから見て、当然だろう。国連調査団報告は近く化学兵器使用を認定する由である。(つづく)
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